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ライフ  作者: 道野ハル
1799年
111/162

名前




「―――」



 それは誰の名前だろう



「―――……」



 確認するように呟かれる



「……―――」



 感じる


 感じたのは光


 でも……


 感じたのは私じゃない



「……気安く呼ぶな」



 怖かった


 知らなかった


 知りたくなかった……



 そう思ったのは


 誰?




*****




 真っ白。


 見慣れた景色に違和感を感じた次の瞬間、視界が真っ白になった。そして気が付くと


『え』



―――ピューッ



 私は落下していた。



―――ドサーッ!!



『……っ』


 腰を打った。痛い……でも痛いのはそこだけだ。結構な高さから落ちた感覚があったけど、どうやら無事らしい。とりあえず立ち上がろう。まず地面に手をついて……


『うん?』


 何だか変な感触がした。柔らかい?……なぜだろう。


「ねえ、おもいんだけど」

『は?』


 地面から声がした。下を見ると、

 

『……』

「どいてくんない?」


 生意気そうな金髪ヤローがいた。




【1799】




 金髪に聞いた話を整理すると、ここは異星で、私はたまたま“引き寄せられて”この星にやって来たらしい。……意味が分からない。っていうかあり得ない。


「信じなくてもいいけど」

『……』

「ぼーっとしてたら死ぬかもよ」


 それは一理ある。


 ここが何処で、どんな人間が周りにいるのかも分からない……そんな状況で女一人でいるのは危険だ。……目の前のこいつだって何者か分からない。


『……あなたは、何をしているのですか?』

「ひまつぶし」

『はあ』


 なんだそれ。金持ちの息子かなんか?


『……あの、失礼ですがお幾つで……』

「18」

『同い年じゃん』


 油断するのは危険だけど……同い年か。なんとなく親近感が湧いてくる。


『暇を潰して……今、何してるの?』

「さんぽ」

『家がこの近くなの?』

「家はないよ」

『え?』


 あれ……もしかしてまずいこと聞いちゃったんじゃ……。私が顔をひきつらせていると金髪はきょとんと目を丸くした。そして暫くすると楽しそうに笑って言った。


「いらないから持ってないだけだよ」

『あ……そう、なんだ』


 ……何でこんなに無邪気に笑うんだろう。


「旅にでるんだ」

『……へえ』

「くる?」

『え?』

「あと三ヶ月くらい」

『三ヶ月?』

「この星はあと三ヶ月くらいでおわる。アンタも元の星にかえれるよ」

『え、終わ?、かえっ?』



―――スタスタ



 困惑する私を置いて金髪は歩き出した。


『!ちょ、待って、なに?なにがどうゆう??』

「かってな神のせいでねー、さいあくだよねー」

『いや、意味わかんないんだけど!』


 分からないことに分からないことが重なって頭はパンク寸前だ。いや、多分もうパンクしている。……何を聞こう、何から聞こう。


『あ、あんた!名前は!?』


 思い浮かんだ質問を口にする。金髪は背を向けたまま、歩みを止めずに言った。


「ラルフ」


 ラルフ……


『あの、あたしはっ』


 聞かれてないけど言っておく。


『あたしはサラーフ!』



―――タッ



 不安も恐れも迷いもあるけど、取り敢えずラルフに付いて行こうと思った。




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