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ライフ  作者: 道野ハル
オウド国Ⅱ
109/162

問い



 林の入口でラルフとイオリさんと別れた私たちは、一足早く帰路についた。



―――ザッ、ザッ……ザッ



 暗い街を抜けてようやく宿の前に来た時、ノベルさんが珍しく真剣な眼差しで口を開いた。


「皆さんにお話したいことがあります」

「『!』」

「ラルフくんたちの帰りを、一緒に待ってもいいですか?」

「……うむ」


 私たちは三人でユラさんの部屋に入り、ラルフとイオリさんを待つことにした。





―――数分後



「……」

「……」

『……zz……!……』

「……」

「……」

『zz……!……』

「「タナカさん(殿)、」」

『ふぁいっ!?』


 二人に同時に声を掛けられてハッと目が覚める。あ、この感覚久しぶりだ。授業中にウトウトして先生に呼ばれた時の感覚……


「タナカ殿、」


 ドギマギしているとユラさんが微笑みながら口を開いた。


「眠っていて構わないぞ?二人が来たら声を掛けよう」

『えっ!いや、でも……』

「女の子はちゃんと睡眠とった方がいいよ。僕の腕かす?」

『え゛「武器商にんんんんっ!!」


 ズバンッ!!とユラさんのチョップが私とノベルさんの間に入る。


「お主はぁぁぁぁぁ!!しょうこりもなくぅぅぅぅ!!」

「落ち着いてくださいよ」

「タナカ殿こっちだ!こっちへ避難するのだ!!」

『えっ、えっ』


 腕を引っ張られ、ブン!とユラさんの後ろに投げられる。


「武器商人、お主はそこから動くな!一ミリたりとも動いてはならぬ!」

「大ゲサだな~」

「喋ってもならぬ!」

「あっはっはっ」

『……』


 うん。なんか目が覚めてきた。そして、



―――ぐぅ~



『……』

「「……」」


 目が覚めたらお腹空いてきた……。


『……あ、あの、部屋から食べ物とってきていいですか……』


 恥ずかしい。イケメン二人にダイレクトにお腹の音を聞かれるなんて、めっちゃ恥ずかしい。私は返事も聞かずにそそくさとドアへ向かった。


「あ、タナカ殿!食料ならここにも……」

『大丈夫ですっ!とってきますっ!!』



―――バタンッ!



『ふぅ~っ』


 何とか切り抜けた……。いやもうアウトだけど。



―――タン……タン……



 二つ先にある自分の部屋に向かう。月明かりしか入らない廊下は暗かった。躓かないように気を付けないと……。



―――……タン



 無事に扉の前に着いた。冷たいドアノブをぐるりと回す。



―――ガチャッ



 たしか鞄はベッドの上に置いてあるはずだ。入口にあるランプを点けて念のためドアを閉める。振り返ってベッドの方に歩き出そうとしたその時


 窓に映る、知らない誰かと目が合った。



―――グイッ


―――ガッ



「声を出すな」


 一瞬だった。後ろから手を引かれて身体が揺らいだと思ったら――腰と首に手を回されて完全に動けなくなっていた。


「大人しくしていろ。騒げば命はない」

『……っ』


 冷たい何かが首に当たる。恐い。恐い。恐い。恐い。


「一つだけ答えろ」

『……』

「お前は異星からきたのか」

『!!』

「答えろ」

『は……い……』



――――トンッ



 『!……』


 頭の後ろに衝撃がきた。意識が遠のく。


 目の前が真っ暗になった。




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