練習②
ということでひと騒動あったが、改めて正常に。
「神宮さんと小鳥遊さんは全くの初心者?」
「あ、名前でいいよー♪ これから一緒の部活なんだし! 巴ってー!」
「わ、私も茜で、いいです」
「そう? じゃあ俺も冬矢って呼んで。それで巴と茜はどこまで?」
「私はバッティングセンターでたまに打つくらいよ」
「実は、あんまりしたことなくて……」
となると、まずはボールに慣れるところだろう。
基本中の基本、キャッチボールだ。
「ならキャッチボールをしようか。利き手と反対の手にグローブを持って」
唄が準備してくれていたグローブを渡す。
2人とも右利きのようなので良かった。
「まずはゆっくり投げるからしっかりと捕る。それて投げるをしていこう」
俺はまずゆっくり目に捕りやすい胸元に丁寧に投げる。
先にキャッチするのは巴。
パシっ。
恐る恐るだがちゃんと捕れている。
そして返球。
「ほっ、と!」
ちょっと明後日の方角に飛んでった。
「ごめんねー!」
「大丈夫だよ!次は茜だね」
茜にも同様に投げる。
「きゃっ」
グローブにはあたったが目をつぶってしまった。
うん、可愛い。
じゃなくて。
「ご、ごめんなさいっ」
「気にしないで。最初って怖いよね。となるとまず巴は投げる練習、そして茜はボールに慣れる所からいこうか」
「わかったよー♪」
「えと、その、邪魔にならない?」
「? なんで? 最初はみんなそうだよ。俺だって、最初はボール取る前に怖くて逃げたしね」
「そうなの?」
いやぁ、懐かしいな。
いつの間にか慣れたけど、最初は怖かったな。
―そして唄たちは―
「じゃあまずは冬矢くん達のようにみんなでキャッチボールして、トスバッティングにしよう! その後、少し集まってもらうね!」
「はーい!」
唄はどうやら何かを分析するみたいだ。
はてさて、どうすることやら。
それから2時間ほどたった。
「と、取れたっ」
「おめでとう、茜。巴は投げる捕るはいけたね」
「やー、冬矢くんが教えるの上手だからだよっ♪」
「みんなー! 一度集まってくれるー?」
唄からの集合の声。
各々していた練習を終えて、唄の周りに集まる。
「今から守備位置を決めて行こうと思ってます! もちろん希望もありだけど色々していく中で変更して行ったりもするからあくまで暫定です」
なるほど、守備位置か。
どうなるだろうか。
「打順とかは今後のバッティングとか見ていくからそこは未定でいくね。まずはピッチャーは智花ちゃん! キャッチャーは結奈ちゃん」
「頑張ります!」
「当然ね」
ここは元から決まっていたから妥当だろう。
「セカンドは望深ちゃん、サードは七海ちゃん!」
「やったるよー!」
「私、サードか。うん、おっけ」
「ショートは冬矢くん、センターは穂花ちゃん」
「了解」
「慣れしたんだ場所ね」
今のところ特に想像通りだな。
七海のサードもありだろう。
「巴ちゃん、茜ちゃん、響はまず外野で経験積んで状況によって変更するね! 人数が少ない分、みんなには色んな守備位置を経験してもらうね!」
それが一番いいだろう。
人数が少ないと何があるかわからない。
あとは投手をどうするか。
「それとピッチャーはメインは今は智花ちゃんで行くけどもう2人ほど適正みたいから冬矢くん以外はマウンドにおねがいね。結奈ちゃんも投げてほしいし、冬矢くん、キャッチャーお願い!」
「わかった。結奈、ミット借りていい?」
「ええ、小さいかもだけど」
「ありがとう」
ミットを嵌めてみたが、うん。
ちょっと小さい。
「冬矢くん」
「ん? 茜?」
「なんで冬矢くんは、その、投手、しないの?」
「あぁ、混合では男子は投手禁止なんだ。更に言えば人数制限もある」
「そうなのー??」
巴も会話に入ってきた。
まぁ知らないのは仕方ないか。
「昔は男女差って結構あったみたいだけど今ってそこまでないよね。筋力や体力などは男性の方がやっぱり強いよね」
「う、うん」
「そうなると投手で男が居ると不公平さが出るでしょ。男性は数は少ないしね。だから1チーム男性は2人までってのもあるんだ」
「そう、だったんだ。ありがとう、冬矢くん」
しかし、男性が歴史的に退化したのか
女性が進化したのか。
はてさて、どちらだろうか
選手名鑑
名前 木南沙優 きなみ さゆ
守備位置 ファースト
性格 落ち着いててみんなに優しい
備考
元投手で地肩は良し。怪我で痛めて以降、完治はしたがファーストを守る左利き。
隠れ巨乳である。