練習
「じゃあ、初心者の子はこっちに集まってねー♪」
「私だねー!」
「私もです」
巴と茜が唄の前に出た。
今から何をするんだろうか?
「2人にはせっかくなのでキャッチボールからボールとグローブに慣れてもらうね! ただ私は今から練習サポートするから、んー、冬矢くん!」
「はい?」
「2人のコーチをお願いできるかな? このチームで1番上手いのは冬矢くんだし」
「確かに冬矢くんなら適任かも! むしろ私も教えてほしい!」
「冬矢なら問題ないでしょ。適任ね」
おお、なんかもうすでにやらないといけない流れに。
いやまぁ嬉しいけども。
「へ? あんたが1番上手いん? うそやーん! 練習見てた感じあんたらの方が上手いんちゃう?」
「え? 望深ちゃんの実力は知らないけど間違いなくこの中では冬矢くんが上手いよ」
「ほんまに? 男なんて下手な奴ばっかりちゃうの? 例外があるとするなら鳴凌の御凪に中村、葉䕃の各務辺りやろな。あの3人は別格やし、会うたら勝負したいわ」
俺の名前が出てきてびっくりやけど。
なんかその人と別人って思われてるんかな?
どうでもいいけど。
「鳴凌ってあの鳴凌?」
「そうや! ウチはセカンドやし、一度組んでみたいとも思ってるん! バッティング勝負もやけどあの守備力! 守備範囲! センターラインとして尊敬すらある!」
「そうなんだ! じゃあ冬矢くんと今度組んだらいいんじゃないかな?」
「アホか! そんな簡単に組めるかいな。恐らく名門に入学してるやろし、あり得るとしたら洛塔山や千泉とかやろ」
「昨年の全国覇者校にベスト4の野球部ね。たしかに声かけられてそうね。どうなの?冬矢」
「確かに声をかけられたけどね」
「なんやさっきから話が噛み合わんな。どういうこっちゃ?」
「何もって、戸倉さん。この人がその御凪くんよ。元鳴凌中出身。ね、冬矢」
結奈が俺を見て言う。
いやまぁそうなんだけど、このタイミングでは言いにくいな。
「へ? まさか、嘘やんな? ちょい待ってか。確認するわ」
携帯を取り出し何かを確認してる。
見つけたのか携帯と俺を見比べてるな。
なんか青ざめてきてるよ?
「ほんまや……。すまん、さっきのはお詫びさせてくれへんか? ウチの悪い癖やわ。ごめんなぁ、御凪くん」
「いや、その気にしてないから。大丈夫」
「話もまとまったことだし、初心者の2人はまずは冬矢くんに色々教わってね!」
「「はーい」」
こうして俺は2人に教えることになった。
うん、がんばろっ