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出会いの季節

 2×××年。

 夏の全国中学校野球大会本戦 決勝戦。

 鳴稜中学(前年度準優勝) 

     対 葉陰大附属中等学院(前年度覇者)


 7回裏

 3−4の葉陰大附属中等学院に対して鳴凌中学の1点ビハインド。

 裏の攻撃、鳴凌中学。

 ランナーは満塁。

 アウトカウントは2。


「鳴凌中学校の攻撃は3番 ショート 御凪 くん」


「さぁ、なんという悪戯でしょうか。満塁で3番の御凪くんに回りました! これは勝負は避けられないですね」


「そうですね、ここまでセカンドゴロ、三塁打、本塁打2と全ての点数に絡んでいるこのバッターは怖いですね。仮に敬遠してもこの後の4番の千渡が控えていますからね」


 鳴凌中学校ベンチ


「冬矢ー! 決めてちゃってー!!」

「いけるわよー!」


 仲間の声援が聞こえる。

 うん、だいぶ思考も落ち着いている。

 相手ピッチャーがセットを取る。

 足を上げる。

 そして腕をしならせ、ボールを投げる。

 見えている。

 ここでバットをタイミングを合わせて振り抜いた。


 カキーーン。

 甲高い音が響いた。

 この球場にいる全ての人が打球に目を奪われた………。



―――――1年後の春


「しかしこの坂、割ときついな」


 この春。

 星ヶ海高校に入学し、今から入学式。

 下調べしてなかったのもあるが学校までの坂が割と急勾配。

 結構キツイ。

 それにちょっと目線を上にあげるとたまに見えるスカートの中。

 パンチラ。

 若い男子高校生には毒だと思う。

 いや、決して邪な思いでもなく。。


「この学校も女子が多いみたいだし。というか男子基本少ないもんな」


 男子少子化問題。

 ここ何十年か男子の出生率が落ち、女子が多く生まれている。

 昔は半分半分と言われていたらしいけど、それも昔の話。

 スポーツもいまじゃ混合か個人しかない。


(ま、少ないからってモテるわけでもないんだけどね)


 自虐してるわけでもないけど。


 そんな感じで坂を登り、校門まで歩いてきた。

 とりあえずクラスの張り紙見ていこう。


 校門に張り出されてるクラス分け。

 そこには新入生がたくさん集まっていた。

 ほぼ女子であるが。


 まぁもうそこまで気にしてないので、普通に張り紙まで見に行き、自分のクラスを確認。

 下駄箱の番号もあったので、それを見て動いていく。

 新しい上履きを取り出して履く。そして靴を下駄箱に入れたら案内に従ってクラスまで向かった。


 

 1年B組。

 そこがこれから1年間のクラス。

 クラスの中を見渡すとほぼ女子。

 しかもJKばかり。

 JK好きや制服好きには堪らない光景ではなかろうか。

 誰にとは言わないが。


 男子も数名いるくらいかな。

 まぁ仲良くやっていこう。


「えっと、俺の席は、っと。お、ラッキー、後ろだ」


 俺は席に向かうと隣に座ってる女の子が目に入る。

 女の子というよりも彼女が読んでるのは野球の雑誌だが。


(好きなのかな?)


 見たばっかりも失礼なので、とりあえず声をかけて挨拶。

 暗いと思われるとこの先大変なんでね。

 そう思ってると女の子と目があった。


「あ、初めまして。隣の席の御凪、御凪冬矢(みなぎ とうや)これからよろしく」


「はじめまして〜! 私は音吹唄(おとふき うた)です♪ よろしくねー! 男子少ないから大変だねー」


「いや、流石に慣れたかな。音吹さんは……」


「あ、私のことは唄って呼んでいいよ! そのかわり私も冬矢くんって呼んでいい?」


 女の子に下の名前で呼ばれるとなんかむず痒い。


 音吹唄。

 茶髪のセミロングですごく明るそうで人当たりのいい女の子だ。

 胸の大きさ?

 うーん、まぁいい感じかと思うけど。

 身長は割と小柄目。


「こほん、じゃあ唄はこの辺出身?」


「うん、近くだよー! 冬矢くんは?」


「あ、俺は……」


「唄! もうさっそく友達作ったの? 早いわねー。って男の子!?」


 話そうとすると後ろから声が聞こえた。

 振り向くと唄そっくりの女の子が居た。


「あ、響! うん、隣の席の冬矢くん。冬矢くん、姉妹で妹の響だよ」


「御凪冬矢だ。よろしく、音吹さん」


「さすが唄ね。コミュ力高いわ。あ、私のことも響で良いわ。2人とも音吹だしね。私も冬矢って呼んでいい?」


「もちろん」


 うん、幸先はいいんじゃなかろうか。

 いきなり顔見知りが2人も出来た。

 どうやら響は隣のクラスみたいである。


「そうだ、せっかく知り合ったわけだし今日は入学式だけだから学校見て回らない? もともと唄と行くつもりしてたんだけど」


「あ、いいねー♪ 冬矢くん、いこうよ!」


「そうだな、俺も予定なかったし、付き合うよ」


「決まりね。じゃあオリエンテーション終わったらこのクラスに集合ってことで」


「ちょーっと待ったぁ! いま学校見て回るって聞こえたんだけど、よかったら私も一緒に行きたい!!」


 といきなり乱入。

 いや、なにこのクラス。コミュ力高すぎない?

 

 乱入してきたのは、栗色の綺麗なロングヘアに左側にリボンに包まれたサイドアップの可愛い系女子だ。


「もちろんいいよー♪」


「ありがとうー! あ、私は神崎智花(かんざき ともか)。海戸中から来ました! よろしくね!」


 この時は思わなかった。

 この出会いが、俺の。

 みんなの人生の転換期っていうことに。


 神崎智花、音吹唄、響、そして御凪冬矢。

 これから始まる物語のメインになることに。

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