いつもの日常を知る
昨夜は疲れもあって気付いたら寝てしまっていた。良く寝ていたようでスッキリと目が覚めたようだ。
ベットから起き出してみると外は薄く明るくなって太陽が徐々に登ってきているのが窓から見えて空に朝日が差してきた。
顔を洗ったりして身仕度を整えたら外に出た。
買い物の時にアルトが俺の荷物の説明と雑貨屋で見た俺の知らない物の使い方を教えてくれたのが役に立った。
孤児院の裏の林を開墾していると聞いていたのでそこに向かった。
林に近い所に4人いるのが見えた。そちらに向かって行くとラインハルト、レオ、テオがもうすでに畑を耕しているのがわかった。
1人はまだよく知らないやつで離れていても茶色の髪が濃いのがよくわかった。
俺がそっちをみていると、テオが俺に気づいて声をかけて来た。
「おはよう。早いね。良く眠れた。この子はヨルクだよ。今いる4人も薬師として登録されているから薬草を植え付けに来たんだね。一緒に植え付けもやってみようか。」ラインハルトとレオも挨拶してくれて開墾の続きをしながら林のキノコを採取していた。
紹介されたヨルクも軽く手を振って笑顔で
「よろしく!一緒に植え付けしよう。僕はここに来る前までは農家で畑仕事もしていたからこういうのは得意なんだ。」と言って人懐こく隣に寄って来た。そしてテオのそばにある薬草の所に行ってテオの顔を見ながらにこやかに笑って薬草を指差しながら
「遅くならないようにこっちから順番に植え付けしよう。時間も有限だからね。」
「真似できてないけど有限だから傷薬の薬草から植え付けようか。あっこれいつもの日常だよ。」テオも一緒に薬草の植え付けを始めた。
2人は俺にやり方を教えて植え付けると、俺にもやってみるように薬草を渡してきたのでスコップで穴を開けたら薬草を穴に入れて土をかける時は慎重に土をかけて植え付けをした。
3人で薬草を畝毎に分けて植え付けるとテオが水遣りの道具置き場に一緒に行き、水遣りの仕方をじっくりと教えてくれた。
他の野菜にも水をあげたらレオとラインハルトが木を倒して開墾したところで土を耕しては石を拾ったりしていた。
開墾の為に抜いた木や切り株は他の男の子達が薪にする為に切り分けて運んでいた。
又。別の子が離れた場所で乾いた木を取り出して薪割りをしているのが俺の位置からも見えていた。
朝の作業が終わって朝食を済ませたらギルドに行く道を覚えたかどうか心配したようだった。
「俺たちとギルドまで一緒に行こうぜ。」
「帰りも迎えに行くから待ってろよ。」と言われた。
レオ、アル、アルト達は採取に行くので一緒にギルドまで付いて来てくれた。
「今日は魚も獲ってくる。魚も見せたいし、迎えに行くから待ってろよ。」とアルトは言いながら手を振って採取に行った。アルとレオも同じように
「待ってるの。」
「僕はキノコ取るから待ってろよ。」と言って手を振ってくれた。
俺はギルドの受付の女の人に初心者講習を受けに来た事を伝えると別の部屋に案内された。
部屋の中には机が用意されていた。その机がある席に俺は案内された。
俺の他にも似たような歳頃の子供達が4人いた。
「では、少し早いのですが、揃いましたので講習を始めます。初心者用ですので詳しく知りたい方は講習の後に質問してください。質問の内容によっては他の有料になる講習の紹介になることもあります。」と言って初心者講習はスタートした。
受付の女の人がギルドのシステムの説明とギルドカードの使い方やギルドにお金を貯金できる制度やランクによって受けれるサービスの提供等についてと他のギルドに登録する時はその度にギルドカードが増えること。
カードには互換性はないらしくランクや貢献度など知りたい時は各ギルドを通じて確認することになっているそうだ。
「その辺は各ギルドで相談をしてくださいね。」と言っていた。
その後GやFランクでも採取ができるように薬草の見分け方とキノコや木の実については実際の物を手にしての説明があった。
低レベルでも鑑定が有ると採取素材が解り買取の時に有利になると言っていた。
手に取った時にこっそりと鑑定してみた 。聞こえると恥ずかしいので声を出さずに心の中で呟いてみたが 上手くいかなかった。この世界には魔法が有る。
鑑定も魔法で昨日見た受付の女の人がしてくれた傷を治してくれたヒールも魔法で回復魔法だった。俺は今までいた世界との違いをより実感していた。
他にも攻撃が出来る魔法も有り、火、水、風、土の属性の魔法もある。
詳しく知りたい場合は魔法の講習を受ければ教えてくれるそうだ。ただし個人差が有りうまく使えない人もいるが魔法の対抗の仕方や簡易的な魔法も教えているので講習料で損しないように納得できるように教えてくれるそうだ。
又、町から近い採取できるエリアには動物や魔物が生息している。
動物等を獲って利用できる肉や皮、角や牙等、種類によっては特殊な部位が買取になる。
動物の殆どが林の奥に背のたかい木が生えた森に生息している。基本的に魔法が使えるものを魔物やモンスターと呼んでいる。
武器で退治できるものが多いがそれぞれに特性があるので火を使う物には土や水をかけると火が消え易くなるとかその特性の反対の性質を持つ力や対策を取ると退治しやすいそうだ。
この対策は魔法の講習で説明するそうだ。
冒険者として外で過ごすと飲み水の確保や火を熾すのは大変なので生活魔法が使えると便利なのでさわりだけ教えてくれることになっている。
今回解らなかったら希望者には有料の魔法の講習で取得できるまで教えてくれるそうだ。
生活魔法を使って小さな火を灯して器に入れて見せてくれた。
次に水を出してコップに注いだ。1人づつ器に手をかざして手に揺らぎを感じれるとできるようになると言われ全員で手をかざして揺らぎを感じようと手に集中していた。
俺は受付の女の人が生活魔法で火や水を出すのをじっくりと観ていた。
そのうちに火に手をかざしていると火が俺が手に集中するのに合わせて揺れて動いている気がした。
「では、そろそろ時間になるので終了します。武器の扱い方の講習や練習について、魔法の講習もやってます。有料になるのでご相談ください。練習場を借りるのは無料ですが他の方の申し込みと重なっていないかの確認も有るのでご相談ください。何か有ればここで質問も伺います。質問のない方は終了ですのでお帰りいただいて大丈夫です。」と受付の女の人が言うとそのまま席を立ち帰る人もいた。
「有料の講習を受ける場合は何日前とか人数とか決まっていますか。魔法もどれくらいできるようになりますか。」と金髪の男の子が聞いていた。受付の女の人は 書類を確認して
「特に決まってないので申し込む時に予定を合わせています。申し込む時に料金も受け取りますので料金をいただい時に人数とか判ると思います。どれくら習得できるかは講習の内容によるのでどれくらいできるかについて答えれないです。」と言っていた。
「私は回復魔法が知りたいのですが、これも有料ですよね。種類ぐらいは聞いてもいいですよね。私、何ができるかわからないことに お金をかけられないから価値を教えて欲しいです。」と兄妹なのか金髪の女の子も質問していた。受付の女の人は
「回復魔法はヒール、キュア、その他に上位魔法や得意な人は状態異常も治せるそうですが、病気だけは回復しないです。このギルドでは上位魔法ができる人が殆ど居ないので内容はわからないですが、隣町に行くと別の講習として上位魔法の講習してくれるそうですよ。魔法講習を受けるならヒールとキュアを見せるだけなら私が今なら実演も出来ますよ。」と言った。確かにヒールを受けたことがあると思って話を聞いていたら女の子は男の子とコソコソと相談していたが、女の子は嬉しいそうに
「是非、お願いしてもいいですか。」と言った。
受付の女の人はポケットから針を出して
「では、よく見てくださいね。ヒール。」と針で刺してぷっくりと血が付いた指にヒールをかけて治した。少し間を開けて
「キュア。」
そのまま指にキュアをかけた。急なできごとで席を立っていなかった俺もついしっかりと観てしまった。その様子を見て
「あなたも見たからには魔法の講習を受けなさい。ただ見なんて狡いこと許されないわ。」
と金髪の女の子に言われた。男の子もニヤニヤしてこちらを見て言った。
「そうだな。ただ見なんて狡いよなぁ。いつ受けるんだ。どうせなら一緒に決めようぜ。」俺はタイミング悪くお金も無いのでどうしたらいいかと受付の女の人の方を見た。
「ごめんなさい。あなたが参加するかも聞かずに見せてしまったのは私のミスです。昨日会ったのを覚えてますよ。彼女たちと知り合いじゃないでしょ。彼女たちと一緒に受けなくていいわ。あなたの都合の合う日程で講習は申し込んでね。お金も今日は持ってないなら申し込みの予定だけ決めましょうか。お金は後からでいいから。ちょっと待っていてね。」と受付の女の人からの簡単な謝罪と申込みが勝手に決まっていた。
「先に貴方達の予定を伺いますね。彼にも後で申し込み手続きしてもらうから問題ないですね。手続きをするので受付に行きましょう。」と金髪の子達を受付に誘導して行った。
金髪の2人の子は俺の顔を見ると態とらしく顔を反らして部屋を出て行った。俺は部屋に取り残されたが受付の女の人にとっては問題にならないように上手く取り計らったつもりのようだ。
知らない変なのに絡まれた。俺にとっては問題なんだけど何がしたかったんだろう。
まあ、助かったのかな?でも、予定してない支払いができてすぐにでもお金を稼ぐ必要ができてしまった。
講習の時にまた何かあるのかなぁ?ヤバイなぁと思っていた。