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 地元の子との出会い

兎擬きとの戦闘で高揚した気分が冷静なるとに俺自身の事や俺の持ち物と服装がおかしくなっている事やここが何処かわからない事が気になった。

又、ここがどこか解らずにいてこのまま野宿は嫌だ。

ここはどこだ。帰りたい。

どうやったら帰れるのか ? どうしたらいいのか?

ここで生きていくしかないのか?考えてもわからないや。

と気持ちが少し焦ってきたので、まあ落ち着こうと水筒を取り出して中身の水を飲んだ。

う〜ん。美味い。

うちの水道水と違って変なクセがなく飲みやすい。

小ぶりの林檎も食べてみた。

甘酸っぱい。

一息つけるかと座って周りの風景を眺めているうちに

「まあ、なるようにしかならないか」と声に出していた。

最悪野宿でも昔、中学の時にしたキャンプファイヤーみたいでいいかと楽しく思えてきた。

俺の班は火を付けるの速かったしなんとなくやり方は覚えている。

でも飯ごう炊飯の道具が無いや。

ご飯はどうする?なんて考えていたら

「うわぁ〜。」という大きな声がした。声が聞こえた方を探してキョロキョロと見た。

ガサガサと音がして草が揺れて今度は子供が茶色の犬に追い掛けられて俺の方に向かって走って来たのが見えた。

子供は俺のような茶色のようなシャツとグレーのズボンに肩掛け鞄にポーチのような物を腰につけた赤茶色の髪で碧い目をしていた。

「助けて!」と言いながら必死に俺の方に走っていたが転びそうになった。

体制を崩した所に犬が子供を噛もうとして子供は転がりながら避けていた。

咄嗟にやられると思ったら俺はさっき使った木の枝を握りしめて犬に向かって走った。

思い切り振り回す感じで木の枝を使い何回も叩いたがタイミングが合わずなかなか当たらない。

犬が俺に気を取られているうちに子供が立ち上がる時間ができた。

子供が立ち上がり身構えると敵が二人になったので形勢が不利になったのがわかったようで犬は慌てて俺達から逃げて行った。

「大丈夫か?」俺が声をかけると子供は転がった時の土を払い立ち上がると

「あんまり大丈夫じゃない。転んで傷ができた。噛まれてはいない。」と答えて俺の方に近付きながら言った。

「かすり傷だ。なんとかなるけど、助けてくれてありがとうな!」と言いそのまま続けて

「助かった。本当に助かった。いつもの薬草摘みの依頼で来たんだ。森に来たけど思ったほど薬草が摘めないから気づいたらいつもより深い所に来ていた。浅い森の方では見かけない動物に出合って追いかけられて大変だった。」とどうしてこうなったか説明し出した。

子供が言うには自分達の住む孤児院には子供が30人ぐらいいる。

大勢で暮らしているから自分の出来る事や仕事をして自分の食い扶持を稼いでるそうだ。

普段から森で薬草や木の実を取ったりといった採取をしていた。

ギルドに採取したのを持って行くとお金になる。

人数が増えて孤児院にはお金の余裕がないそうだ。

時間がある時は仲間の食糧や蓄えがあると自分が病気の時とかに助けてもらえるので、つい余分に稼ぎたくて森の深い所に来てはいけないと約束だったが気づいたらここに来ていたと言っていた。

この森の浅い部分でいつもは採取の依頼がいくつかこなせるそうだ。

俺はどんな薬草を取っているか興味があり、見せて欲しいと頼んだら子供は喜んで自分の取った戦利品の説明もしてくれた。

「これが傷薬に使う薬草で、こっちが体力を回復させてくれるので依頼品なんだ。これが病気の時に飲む薬に調合して使う薬草で、それぞれの薬を作るのには他の物も混ぜて調合するけど 単体でも弱くなるけど使えるからいつも集めているんだ。」薬草を見せて指差してその特徴を教えてくれる。

見せてもらった薬草に似た草が足元にたくさん生えているのが目に入った俺は、聞いた特徴を確認してそれを指差して子供に聞いた。

「じゃあ、これは薬草か。」さっとしゃがんで根本から抜いた草を見せると子供は

「そうそう、それもこれも薬草だ。まだ今日の分が足りないからここで採って行くよ。」と言って急いで手で薬草を抜いていく。

そのうちに子供は固い薬草があったので鞄から小さいナイフを取り出して切りながら鞄から出した布の上にどんどんと積んでいく。

俺も手伝って一緒に三種類の薬草を取っていたが少しずつ採れる所へと離れていく。

薬草の積んで有る所に戻るのが面倒になり俺も自分の鞄から同じように布を出して集める。

楽に採れたので説明された薬草をしっかり全部根本から抜いて布に乗せていった。

さすがに薬草を有るだけ取っていくのはとても無理な量で生えていた。

薬草の中に葉の形は一緒だが緑色が濃い物が生えていた。

その中でもひとつだけ白い小さな花が咲いていた。

濃い緑の葉の薬草も一緒に混ぜて適当に一包みにできたのでそろそろいいかと俺は子供の所に戻って行った。

子供は欲しい分の薬草を取って満足したらしく次に目についたのが どうも木に刺さって死んだあの兎擬きでその首を掴み引き抜こうと一生懸命に引っ張っていた。

一人では抜けないようだった。

子供は俺が戻って来たのを見るとブンブンと大きく手を振って

「早く、手伝ってくれ。お前がやったのか?スゲエなあ。これ焼くと美味いからさあ、捌いて食おうぜ。」

目を輝かせながら嬉しいそうに言った。

「これ食えるのか?」俺はビックリしながら子供に聞いた。

逆に子供の方がビックリした顔で俺の顔をじっと見てから兎擬きを指差して

「食ったことないのか?捌いたところを見た事なくても焼いたやつはみたことあるだろう?それともいいところの坊ちゃんだったのか?見た目から年も変わらないようだしお前と俺であまり変わらない格好してるのに。まあいいか。食ったらわかるから俺の仲間の所に戻って食おう。ここじゃあ俺らより強い奴にあうと危ないからさあ。森の浅い方の草原にベース作ってるからこれ持って移動しようぜ。」

子供の言っている事を少し聞き逃したが、この兎擬きが俺の知っている日本の兎と同じなら確か兎は臭みがあるが食べれるとか人によっては美味いと聞いたことがあったので少し興味があった。

何かすることがある訳でもないし、ここに来てだいぶ時間もたったはずだ。正直言ってお腹が空いて来たので一緒に兎擬きを引き抜くと安易に着いて行く事にした。

はっきり言ってこれからどうしたらいいか分からないからあまり考えずに流れに任せてしまった。

ついて行って危ない動物の出ない所で何か食べれるし、俺も孤児院に泊めてもらえるか聞いてみたい。

それが出来るなら俺的にもラッキーなんて思っている間に、子供はテキパキと薬草をまとめた布を丸めて背負い両端を胸の前で結び兎擬きは鞄から出した紐で俺がさっき使った木の枝に縛り付けて荷物をまとめていた。

子供は木の枝を肩に担ぎ俺に言った。

「飯食う時間有るだろう。さあ、行こうぜ。」俺は頷いてついて行く。

歩きながら乾いた 小枝を拾いつつ話してくれるには 森の浅い方の草原の少し先で休憩できる拓けたとこがあってそこなら安心して火が使える。

一緒に来た仲間がそこでベースを作ったから待っている。

ギルドの依頼でここに採取に来た。

仲間は2人いて同じ孤児院の子らしい。

子供と違う作業をしているとのことであった。

孤児院で使う物も依頼と一緒に採取しているそうだ。

今は春で採取がたくさん出来るがギルド登録のない子は町から出てはいけない決まりになっているそうだ。

季節は日本と同じで四季があるようだった。

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