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相手の正体は

「な、ななな! 何アレ、何アレ⁉」

「知らん!」

 

 中空を握り潰すポーズをとった「腕」はターゲットを逃がした事を悟ったのだろう。地面に再び潜っていき、そこには元の街道と、散らばった馬車の残骸が残るだけだ。


「知らんが……ヤバい!」

「それは同意!」


 カノンはサーリアを下ろすと、無言で北を……王都の方向を指さす。


「いくぞ!」

「ええ!」


 強化魔法のかかったままの足を動かし、カノンたちはダッシュ。その直後、カノンたちの居た場所を再び謎の腕が貫く。

 移動しているにも関わらず、馬車から離れた場所を狙ってきた。これは、つまり。


「ヒイ! 地面の中を移動してきてる⁉」

「地面から生えてくる腕の化け物! そんなモンスターがいるんだな⁉」

「えーと、えーと! た、たぶんだけど!」

「たぶんでいい! 何なんだ⁉」


 カノンの問いかけに、サーリアは脳をフル回転させながら自分の知識を漁る。

 地面から生える巨大な手。地面の中の移動。そんなものを出来るモンスター。

 知らない。なら、そんな事を「出来そう」なモンスターは?


「ゴーレム!」


 そう叫ぶ。そう、恐らくは。


「ソイルゴーレム! 土のゴーレムよ!」

「土のゴーレムか……!」

「それしか考えられな……ひえっ⁉」


 サーリアの横をゴーレムの腕がすり抜け、悲鳴をあげる。

 どう考えても完全にロックオンされている。

 しかも強化されたカノンたちの足に追いつきかけているのだ。


「地面に出てくるときは地響きで分かる。だが、それ以外は移動の音すらしない……か」

「それがなんだってのよ!」

「地面の上を走ってる限り、射程内だろうなって思ってな!」

「聞きたくなかったわ、そんなこと!」


 走って、走って。しかしそれでもソイルゴーレムの腕は追ってくる。

 どうすればいい、どうすれば。

 考えるカノンたちの「前方」で、地響きが起こる。


「危ない!」

「ぐえっ!」


 カノンに引っ張られ、サーリアが静止して。

 その前方で、巨大な腕が盛り上がるように生える。


「ま、回り込まれたわよ⁉」

「それだけじゃない! 何か……」


 何か、変だ。そう言おうとしたカノンの目の前で、地面が盛り上がっていく。

 周囲の土を……街道をも取り込みながら、頭が生える。人型を模してはいながら、決して人ではないソレ。

 肩が、そうしてもう1本の腕が。やがて上半身らしきものがその場に顕現していき、サーリアが恐怖に目を見開く。


「な、な……」


 それは、まさに土の巨人。この場を通さぬとでも言わんばかりの巨体があっという間にそこに顕現していき……凄まじい勢いの蹴りが、両脇に跳んだカノンとサーリアを分断した。

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