どうする?
「おかしい? 何がだ?」
「だって、お忍びでお偉いさんが死んだとして……どうして『門を閉鎖』する必要があるのよ」
「ん……そういや確かに」
「門を閉鎖するってことは、その先から何かがくるかもしれないってことよ。それは何?」
馬車が何かに襲われたというのは、たぶん真実なのだろう。
だが、その馬車を襲った「何か」は街も襲うということなのだろうか?
それが盗賊であるのなら、相当規模の盗賊団だが……可能性は低い。
そんなもの、軍隊に近い。王都へとつながる街道にそんなものが出るとは思えない。
ならば、可能性は?
「モンスターってことか。それも衛兵が処理できないレベルの」
「……そう考えるのが妥当よね」
カノンに、サーリアも頷いてみせる。そう、その可能性が一番高い。
かなり強力なモンスター、あるいは相応に強力なモンスターの群れ。
そのどちらかであるのは、おそらく間違いない。
「たぶん冒険者ギルドにも依頼が殺到するでしょうね」
「退治依頼か?」
「そんなの来ないわよ。護衛依頼かしらね」
たとえ北門が閉鎖されようと、他の門は開いているのだ。そこから北へ……王都へ行こうとする者も多いだろう。
そうした者たちは身の安全を確保するため、冒険者ギルドに護衛依頼を出したりするわけだ。
「ま、もっと金のある人は傭兵雇うでしょうけど」
「ほんっと、いいとこ無いな冒険者」
「そんなもんよ」
所詮隙間商売であることはサーリアにだって分かっている。
冒険者で成功するような人物は、本当に僅かなのだ。
「ま、そういう事なら話は早いな」
「ええ、そうね。数日街で時間をつぶして」
「他の門から回って突っ切ろう」
「何言ってんの⁉」
馬鹿じゃないの、とサーリアはカノンをどつく。
どう考えればそんな思考に至るのか、全く理解できない。
「いや、だって護衛雇った人とかが王都に行くんだろ? てことは、そういう人たちに紛れて行けるだろ」
「寄生しようっての? 確かに手だけど、場合によっちゃ追い払われるわよ」
寄生。文字通り強い人に寄生するように後をついて安全を図る手段のことだが、寄生される側としてはあまり面白くない事態でもある。護衛を雇った人間の命令で追い散らされる事も多々あり、ついでにいうとあまりよくない手段としても有名だ。
「うーん……じゃあ、独力で無理矢理突破するとか」
「どうやってよ」
「どうやってって……俺の強化魔法で?」
「あっ」
言われてサーリアは、カノンの逃げ足を思い出す。
確かにあのスピードを出せるなら、余程高速移動できるモンスターでもなければ引き離して逃げられるのは間違いない。
「確かに、それならいけそうね」
「だろ?」




