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2度目のスライム狩り

 翌日。門を守っていた衛兵がカノンの顔を見て「げっ」という声をあげる。


「お前……昨日のスライムハンター」

「あ、どうも。今日も此処の担当なんですか?」

「続勤だよ。眠くてたまらねえ」


 衛兵は安定してはいるが仕事としてはキツくて安い部類に入る。

 治安要員としての権限があるが故にそれなりにデカい顔を出来る事を除けば人気はない。

 自然、人が足りなくなってシフトが無茶になったりするのだが……それはさておき。

 衛兵の男はカノンの後ろに立っているサーリアを見つけると「ん?」と声を上げる。


「仲間か? お前の腕なら……ああ、いや。荷物持ちは必要か」

「いや、彼女にも普通に狩ってもらいます」

「普通に……って、昨日のアレか。そうか、やっぱ他人にも使えるんだな」

「そりゃまあ。そういう魔法ですし」

「そうか。なら安心だな。頑張って稼いで来いよ」


 そんな微妙にやる気のない……しかし優しさは感じる応援を受けて、カノンは衛兵に手を振りながらサーリアと共に草原へと歩いていく。


「何、アンタ。衛兵と仲良かったの?」

「いや、別に。ただ昨日俺がスライム狩ってるの見て心配してくれたらしくてさ」

「そういう衛兵もいるのね……あいつら、冒険者だって分かると露骨に態度変えるのに」

「それは衛兵がっていうより冒険者に問題があるんじゃ……」


 この街の冒険者がチンピラ扱いされてるだけじゃないだろうか。

 そんな事をカノンは思うが、流石にそこまでは言わない。

 しかしこの街で冒険者にならなくてよかったな……とは思っていた。


「お、居た居た。スライムだ」


 色とりどりのスライムが跳ねている東の草原は今日も人が居ない。腕のいいスライムハンターの不在は続いているということだろう。


「じゃあ、まずは俺が実演するから。『切れ味強化』、『耐久性強化』」、『身体強化』」


 カノンの剣が、そして身体が輝いていく。そして繰り出された一撃がスライムを真っ二つに切り裂き……サーリアは「はあ⁉」と声をあげる。


「何今の動き! そんなの、え……ええ⁉」

「簡単だろ」

「……ちょっと私にもかけてみてよ」

「ああ。『切れ味強化』、『耐久性強化』、『身体強化』」


 かけられた強化魔法の具合を確かめるように、サーリアは自分の剣を確かめる。

 稼ぎで買える剣の中ではいいものを選んではいたが……今の自分の剣は、明らかに何かが違っている。

 そしてサーリア自身も……違う。明らかに身体の中を何かが流れている。

 何か、こう……筋肉量自体が増えたような、不可思議な感覚。

 それを確かめるように、サーリアは走る。

 ドン、と。地面を蹴る音が気持ち良い。風を切り、スライムを斬る。

 スパン、とスライムを断つ快音が響き、思わずサーリアは自分の手元と……真っ二つになったスライムを見下ろす。


「何、これ。こんなの……クセになっちゃう」


 万能感にも似た感情。それはある種の快感となってサーリアの中に満ちていた。

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