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2 路地裏の猫

 路地裏の猫


 不思議な猫


 ……きちんと毎日、生活をすることが、一番大切なことである。 


 小学四年生の綾瀬素直が、その不思議な猫に出会ったのは、六月の初めごろのお話だった。

 素直の住んでいる家の裏には、今は誰にも使われていない道の先が、なぜか行き止まりになっている小さな草だらけの路地があった。

 家と家の間に挟まれるようにして、その存在をみんなから忘れ去られてしまったかのような、路地。

 ……捨てられた路地。

 みんなから忘れられた路地だ。

 そんな人気のない路地は、小学生の子供の素直にとっては格好の遊び場になっていた。

 いわゆる『秘密基地』と言われる類の遊び場だった。

 素直は暇な時間があると、家を抜け出して、裏庭の垣根を超えて、その忘れられた路地に行き、そこで草花を観察したり、電信柱の影に座って、ぼんやりと青空を眺めたり、雲の形を観察したりして、自分一人だけの時間を過ごしていた。

 素直のお父さんもお母さんもそんな素直の、少し変わった? 毎日の過ごしかたを最初は変に思っていたのだけど、まあ、あの路地は子供が遊んで危ないという場所でもないし、近所の人や路地の管理をしている人(不動産屋さん)に意見を聞いても、別に構わないということだったので、素直のそんな変わった遊びを、やめさせるようなことはしなかった。

 素直は友達がいなかったし、とても大人しくて、一人で静かに日々を過ごすことが好きだった。

 そんな素直のことを素直のお父さんとお母さんはすごく愛していたから、あまりよくないことだとは思っていても(本当は、友達をつくって、みんなと一緒に遊んで欲しいと思っていた)焦らずに、ゆっくりと、素直と一緒に楽しい毎日を過ごしていこうと思っていたのだった。

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