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爆縮と体温の機知(2)

湯煙ルーチンワーク

透明の湯が

穏やか日々を撫でる

身体を中へ浸す時

雲の感触であるかのように

纏い包み

隙間を埋めて行く

開くような気もするが

だからこそ

閉じている場所が

明確になる

浮かんでしまう物がある

考えないと考える

逃げられない場所なのか

逃げ込んだから見える物なのか


ベルトが締まる

飲みの席から帰る道で

二個、穴を緩める

冷たい風のベルトが出来た

酒の温かさで気にも止めず

朝、起きたなら風邪を引く

経験から分かるからか

五歩、歩いた所で

元に戻した

冷静な判断は

未来を温かくするのだろう

冷たいのは

その判断を想いのまま

突っ込んだ後である

明らかに

無くなる物があるのだ


10キロの鉄アレイで

リハビリをする七十代の親戚は

一人で全てを掴んだ人だ

使うべき所で金を使いながら

労を惜しまず

倒れながらも働いた

中学しか出ていないから

全てが自分へ返ってくることを

知っているのだ

長い社会人生活の賜物である

生きるとは

返ってくることも

考えなくてはならない

独りにならない方法は

知って通りだ


夢を呟き歩き

同時に

潰して歩く

下手な人間の歩き方だ

今まで

環境が無かった訳でもなく

だからこそ

何もしなかった吹出物

犯罪者には怖くてなれず

良い人を装っても伝わらない

立ち上がり

歩き始めれば

三歩目で蹴つまずいて

座り込んで明後日を見る

立ち上がった理由を

忘れているのだ

無難な馬鹿を持ち

突き抜けることに臆病で

目にも入らない

人間の形だけが

存在意義みたいで

数にだけ含まれている


あんたさ

そろそろ、何か言った方が良いよ


それの何が駄目なんだと

言ってしまうのなら

全てを肯定しているんだから

相手の言っていることも

肯定していることになる

それは違うんだと

言ってしまうのなら

全てを否定しているんだから

自分のやってきたことも

否定していることになる

否定と肯定だけで見ているのなら

何も言えない

そんな形が残るのだろう


だから、駄目だったんじゃないか

なんて考えないのだろうか

どちらかを選ぶことも

どちらも選ばないことも

否定も肯定も

何一つ、背負えていないからだ

その重たさから

逃げ出したら

逃げ込んだ先にも

感染していくのだ

ただの発生源になっている

空気感染する分

インフルエンザより

悪いかもしれない


歩いている時だけ

その重さを感じたら良い

疲れたら

荷物をおろして

座って休めば良い

寝っ転がって良いのだ

それくらいのことは

誰でも理解できる

単純な話だからさ

荷物を持って歩いている人が

永遠に歩けるかと問えばいい

そのタイミングは

当人にしか決められないと

言い切ればいい

持って歩いている時に

気遣いは要らないと

訴えればいい


シャワーを回した

物語を作った後

現実世界に帰ってきた

シャンプーヘッドを押し

泡立てる

桃の香りがする

気にくわない

失敗シャンプーだった

洗顔石鹸は

チューブの中身が

結構、減っていた

買いに行かないといけない

脳裏に上書きされたから

さっきの物語は消えた

湯気と冬の冷たさ

冬の冷たさだけが残る



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