豊嶋2
豊嶋に着き、帰りが遅いタイガを探しにいった僕は犬に襲われた、犬を殺した後に僕に更なる恐怖が待っていた…
「よくも…ゴンを殺ったな!殺してやる」
「許さないよ君…」
男女は怒りの表情を僕に向ける
「待って…犬を殺したのは僕だけど…襲われて仕方なく!」
説明しても何の意味もない事はわかっていた…
「当たり前だ、人を襲うように仕付けたんだからな!」
「それでも殺すなんて酷い…」
そう言うと…二人は僕にどんどん近づいて来た、男の方の手にはナイフ、女の手には、棒の先に包丁が巻き付けてある物が!
殺される…僕はそう思った瞬間…走っていた
「逃がすかー!」
「待ちなさい…」
雨の中必死に走る僕の後ろを、二人が追いかけてくる
全力で走るが知らない場所で、何処に行けばいいか分からず壁づたいに右や左に走る…
「はぁはぁ、どうしたら…そうだタツヤの所に行けば…助けてもらえ…」
タツヤの顔が浮かんだ…
何を考えてるんだ!タツヤは怪我をしてる…それに自分が言い出して出て来たんだ…自分で何とかしなきゃ!
そう考え後ろを見ると、女しか追って来てなかった
男の方は?疲れて追って来れなくなったのか!?
逃げ切れるかもしれない…そう思い次の塀を左に曲がると、真っ直ぐで塀に囲まれた長い道に出た
その道を走っていると…道の先から…男が出てきた!
「そんな…挟まれた…」
足を止め立ち尽くす
後ろから女が…前から男が近づいてくる…
「ふぅ…やっと追いついたね!」
「もう逃がさん!」
もう逃げられない…戦うしかない…
男より、女の方が何とかなるかもしれない!
覚悟を決め!僕は腰に付けていたナイフを両手で握り
「生きるんだ!!二人を助けるまで」
「はぁ?二対一で勝てると思ってるのか?」
男の方がジリジリと近づいてくる
僕は女の方に向かい走り出した
「女だと思って…こっちに来るなんてね!」
女は武器を構える
向こうか持ってるのは長い槍だ…攻撃をかわせれば…
後3メートル
女は槍を振りかざした!
今だ!
僕は持っていたナイフを投げる
「きゃ…」
女はそれを避け
今だ!その隙に僕は走り抜けた
「はぁはぁやった…!」
抜けた瞬間…落ちていた石につまづいてしまった
「えっ、…!?」
勢いよく転び…身に付けていた物も辺りに散らばる
「うっうっ…そっそんな…」
ピチャッピチャと足音がして
「いい加減終わりだ」
「逃げられたと思っちゃった…」
…最後の最後で僕は…
だけど諦めなかった!
散らばった物を手に取り、壁を背にして相手に向ける
「なんだそりゃ!?そんなんで戦えるのか?」
とっさに手にした物は…さっきの家で拾った物だった
「僕は死ねない!絶対に!」
「もう楽になりなよ?すぐに殺してあげるから…トオル私がやるよ!」
「…俺がやりてぇが!仕方ねえな…そろそろ危険だ…さっさとやれユウ」
トオルとユウ!?これが二人の名前か…今さら知っても意味はないけど…
もうダメだ!ユウか槍を突き刺そうとした時!!
「なんやヤマト、ええもん持っとるやん!」
えっ?!頭の上から声がし見上げると!
ユウの槍は止まり、トオルが…
「誰だ!お前は?」
「タイガ…!」
壁の上にタイガがいて!
槍を止めたユウがまた刺そうとする…
「おっと!姉ちゃん、やめとき…これ
が見えへんか?」
そう言われタイガを見るユウが見たのわ…
「銃…なんでそんな物を…」
少し後づさりしたユウを見て
タイガが壁から降りて
「よっと、せや銃や?撃たれとうなかったら動いたらアカンで!…ヤマト大丈夫か?」
「だっ大丈夫…タイガ今までどこに…その銃は?」
タイガに会え安心した僕はタイガに話しかける
「そこの家で色々探しとって、外が騒がしいおもたらヤマトが見えてな…っと話しは後や、この状況を何とかせな…」
トオルがゆっくりと近づいてきて
「そいつの仲間か…そいつは俺らの犬を殺したんだ…」
「ちょっトオル…動いたら!」
「そか…けどこん世界死ぬのは当たり前や…」
二人の会話が続き
「そうだな…だからそいつを殺すんだよ!」
「トオル…」
「動いたらアカン言うとるやろ?ほんま撃つで」
緊張感が辺りを支配する…
「…それ本物か…?」
トオルが銃を見て話す
「当たり前や」
「…なら撃ってみろよ!」
「ちょっとトオルやめてよ…!」
僕は何も言えず、会話を見てる事しか出来なかった…
「弾は2発しかあらへんから、無駄打ち出来んへんねん!本物かどうか、その姉ちゃんで試してもええねんで?」
タイガがユウに銃を向け、引き金に指をかける!
「タイガ…僕が悪いのに…」
無言でトオルが立ち尽くす
「このまま引いてくれるんやったら、撃たへんけど…どないするん?」
「トオル………」
ユウがトオルを見つめている
「後10数えたら、ほんま撃つで?10…9…8…」
タイガのカウントが進んでいく
「3…2…1…」
カウントが0になる瞬間
トオルが…
「クソっ…!わかった…このまま引く…だから撃つな」
トオルはナイフをしまい、両手を上げる
「ふぅ……」
タイガがため息が吐き
ユウがトオルの方へ走っていき
「トオル!ありがとう…守ってくれて」
ユウが涙を流しトオルに抱きつく
「…これ以上家族を失いたくないからな」
トオルはユウを抱き締め、二人は僕らの元から離れていく
僕は立ち上がり二人に…
「ごめんなさい!僕が家族を…」
トオルとユウは振り返り
「…次に会ったら…」
「許さないから…」
そう言うと二人はゆっくり去っていった…