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廃墟と家族

豊島と呼ばれていた所から歩いて、昔に足立と呼ばれていた場所に僕達の家がある。


僕たちは1日以上掛けて誰にも会わないようにゆっくりゆっくりと足立を目指していた


「もう北を抜けるからもう少しだねタツヤ」


「あぁ、それにしても腹が減ったな…やっぱりあの時にアイツを…」


僕達は2日近く何も食べていなかった、タツヤが言ったアイツとは…豊島で殺したあの男の事だろう

「…ダメだよ!人間は絶対に食べないって家族で決めたじゃないか…」


この世界では人が人を食べるのは当たり前になっている…

けれど僕達はそれだけはしないと家族で決めている、もし未來があり大人になれるのなら、そんな事をした事実を隠さないように。


「わかってる!ただ腹が減りすぎて変な事を考えただけだ、…ミクには言うなよ…」


僕もタツヤも腹が減ってイライラしてるのはわかっていた


「わかってるよ、家に着いたらみんなでツナ缶食べようね今日はご馳走だ」


日も暮れ掛け、ゆっくりゆっくり歩いていると僕らの家が見えた、家と言っても…崩れかけで今にも壊れそうな物だ…だけどこの方が目立たないし隠れるにはいいらしいとタツヤが教えてくれた


周りに誰もいない事を確認し、家の玄関という所に行き、ノックを4回を3回繰り返した


ドアというか、板がゆっくり開き中にはミクとヒナの姿が見えた


「お帰りなさい、ヤマト!タツヤ!3日も帰ってこないで…本当に本当に心配したんだから…」

ミクは少し泣きそうになりながら僕達を出迎えた

家に入ると


「お帰りなしゃいヤーマ、タツア、遊ぼう遊ぼう」

ヒナもまた遊んでもらえると思い喜んで僕達に話しかける


「ごめんなさい…少し遠くに行っ…」

僕が謝っていると


「ごめんな!今回は遠くに行ってた、だけど見ろよ!そのお陰で蝋燭とペン!それに……ツナ缶だぜ?」


ミクは少し黙り、考えたように僕達に…

「別にペンや物が欲しいわけじゃないし…食べ物だって草やネズミを食べれば大丈夫…二人が無事ならそれが一番だから!」


僕とタツヤは顔を見合せ二人同時に


「ごめんなさい」


するとヒナも

「ごめんなしゃい」


…それを見た僕達三人は笑ってしまった


「別にヒナが謝る事じゃないんだぜ?俺とヤマトが悪いんだからな」


ヒナは不思議そうに僕達を見つめる


「せっかく二人が頑張って手に入れてくれた缶詰めを今日は食べましょう、ヒナ良かったね今日はご馳走よ、それにしても缶詰め何て良く手に入れたね?どこで見つけたの?」


僕とタツヤは目を合わせた…ミクは人殺しを嫌っていたからだ…殺して手に入れた事を知ったらミクは絶対に食べないだろう

するとタツヤは


「豊島の崩れたスーパーの下にあってな、だから瓦礫をどかすのに時間がかかったんだ」


タツヤの咄嗟の話しに僕もうなずく…


「…そっか、瓦礫や廃墟はいつ崩れるか分からないんだから気を付けなさい」


「わかったミク、ごめんな!」


僕達は謝ってはいたがまた危険を犯すのだろう…何故ならミクには時間がない事を僕らは知っているから。

ミクの名前の由来は、2039年の39の事で…2039年になったら奇病で死ぬという意味があるからだ


ミクは本当に優しく綺麗で、女を余り見ていない僕でも綺麗とわかるくらいで、僕もタツヤもミクを好きだった…

けれど僕は気持ちを抑え…何も出来ない僕よりタツヤなら安心だから…


「よろしい!じゃご飯を食べて今日は早く寝よう、沢山歩いたりしたから疲れてるでしょ?」


ミクの言った通り僕は寝ずに歩いていたのでクタクタだった


「そうだな…今日は早く寝るか!なぁヤマト?」


「うん、もうクタクタだったんだありがとうミク」


「やだやだ早ーく寝たくない遊べたい」

「ダメよ!ヒナ二人は疲れてるんだから今日は、ワガママ言ったら嫌われるからね!」


ヒナは頷き少し寂しそうな顔をした


そして僕らは久々の味がある食べ物を食べ喜び、少しの幸せを感じつつ眠りについた。


いつ寝たのかわからないが、僕は微かな声と物音に気付き目を覚ました…


「………をお願い…出来る事なら何でもするから…んっ…あっ…」


「わかってる…なぁ…ミク…中に出してもいいだろ?」


「中はダメ…やめて」


「ミク…ミク…好きだ!あっあっ」


「嫌…んっんっあっ…」


暗くて見えないが…ミクとタツヤが性行為をしているのがわかった…

僕は頭がおかしくなりそうになり、両手で耳を塞ぎ目を瞑った…


…気がつくと僕は眠っていて、起きるとミクとタツヤが話している姿が目の前にあった


「ん?ヤマトおはよ、いっぱい寝れて良かった」


「疲れてるみたいだったから起こさなかったせ」


昨日の事が頭から離れず…僕は二人の顔を見れなかった


「まだ疲れてるからもう少し寝るよ…」


「そっか…少しだけど食べ物あるから起きたら食べてね」


僕が強かったらミクは僕とも… そんな事を考える自分が嫌になり、二人の話し声を聞きたくなく僕はまた耳を塞いだ。

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