弱い自分
本当は今からでも歩のところに行って話をしたいけれど、私にはそんな勇気がない。
きっと香那なら怒って「女と歩いてたってどういうこと?」って聞けるのだと思う。
ねぇ、歩、どういうこと?
もしかしたら、今頃違う女の子に告白されてたりするのかな。
デートの約束でもしているのかな。
それとももうデート中だったりするのかな。
様々な想像を膨らませていると匠がこう言った。
「そんなに不安な顔をするくらいなら今すぐ歩のところに行けよ。」
「そんな勇気ない。」
「まだそんなこと言ってるのかよ。
いいのかよ。本当に取られても。」
と言いながら先を歩く歩とクラスメイトを指差した。
「うそ、、、」
「俺は嘘なんかついてない。
ほら、行けよ。」
「何言ってるの?あの楽しそうな雰囲気の中彼女でも私が『私のなので近寄らないでください』とでも言えってこと?」
「普通に一緒に帰ろうって言ってくればいいだろ。」
イライラが増した。
他の女と楽しそうに話していることだけではなく、仮にも彼女であることも公表出来ないこと、心の中はっきりしてないくせにやきもちは一丁前に妬いてしまうことも。
頭を悩ませていると突然、匠が口を開いたと思えば、こう言ってきた。
「今すぐ行かないというなら俺と付き合え。」
「なんでそうなるの?」
「だって、今すぐ奪いに行かないと辛くなるほどの好きではないってことだろ?違うか?」
「違う。」
「なんでそう言い切れるんだよ。」
「好きだから。
でも、あそこに入っていけるほど私は強くない。」
「だから、言ってるじゃん。
俺と付き合えよ。好きだ。毎回違う女と歩いてる歩とは違う。俺は梨花を幸せにできる。」
また私流されようになってる。
違う、この前のは流されたんじゃない。
歩が好きだから1ヶ月試そうと思ったわけで、
好きだからキラキラ見えたわけで、
ふられるのが怖くて付き合えないくらい私は歩のことが好きなわけで、、
なのに、なのに、
歩の楽しそうな姿を見て匠でもいいやって思ってる自分がいる。
こんなはずじゃなかったのに