提案
突然、なんだろうと思ったが聞くことにした。
「提案って何?」
「1ヶ月だけでいい。俺の彼女になってほしい。もちろん香那や匠に内緒ででいい。そしたら、1ヶ月後に梨花がやっぱり付き合えないと思った時に断りやすいだろう?」
もし、これでダメだったらもう、、告白するのはやめよう。
「いいよ。」
「ありがとう。梨花、好きだよ。」
すごく恥ずかしくて、付き合うってこんなに恥ずかしいのに輝いてて、おかしいな、なんでこんなに歩がキラキラして見えるんだろ。まだお試しなのに。好きだからかな。好きな人が恋人になったからかな。
世界が輝いて見えた。
さっきまでの不安なんてどこかに消えてしまったくらい目の前にいる歩が愛おしくて涙が止まらなかった。
「え?梨花、どうしたの?」
「違うの。嬉しくて。」
「そっか。じゃあせっかくだし一緒に帰ろうか。」
「香那たちはいいの?」
「2人はもう帰ったってさ。」
「わかった。じゃあ2人で帰ろっか。」
泣いていた理由はそれ以上は聞いてこなかった。
最近までは、2人でいることが多かったのになぜか何を話したらいいのか分からなくて、照れくさくて、その日は歩の話を聞くことで精一杯だった。
帰ってから冷静に考えて本当にこの返事でよかったのか自信がなくて、変に期待を持たせただけではなかったのか悩んだけれど今更変更はできないし、香那や匠には内緒でいる約束だから相談もできない。
でも、だからこそ良かったのかもしれない。
1人で1ヶ月しっかり考えて、答えを出す。
そのための時間をくれたと思えば少しは気が楽だった。
贅沢なのかな、好きな人と付き合ってるのに1ヶ月後に恋人でいるか悩むなんて。
次の日
「おっはよー、ねーねーねーねー今週の日曜日さ、4人で遊びに行かない?」
もちろん昨日あの後何があったか香那には言ってないし、香那も何かを悟ったのかメールもしてこなかった。
「匠のことはどちらにせよ早くはっきりさせなよ。」
と私の耳元で囁いた。
忘れていたとは言わないが、歩のことで全て脳内は埋め尽くされて振らなければならないということを忘れていた。
「おっいいね。久しぶりだし、少し遠く行っちゃう?」
と乗り気だったのは、歩で
匠はあまり嬉しくなさそうだったが行くことは決定した。
そうだよね、私が曖昧にしてるからだよね。
よしっ
『今日は2人で帰ろう。話したいことがある』
ピロン
『わかった。あいつらには適当に誤魔化しとく。』
一応付き合ってるんだし、歩には言っといた方がいいと思ったので2人になるタイミングを見計らって伝えた。
「ごめんね。一緒に帰れなくて。けりをつけて来ます。」
「2人で帰るのは、羨ましくて妬けちゃうけど仕方ないね。
いってらっしゃい。」
「ありがとう。今度、2人でデートしようね。」
と言って匠と帰った。
私から言ったから私から話を切り出さなければならなかったのに匠は何かを察していたようだった。
「あれだろ、俺を振りたかったんだろ。それで歩と付き合うんだろ。」
なんて返そうか迷ったけれど、
「ごめんなさい、匠のことは友達として好きだけどそれ以上の感情は生まれないの。本当にごめんなさい。でも、歩とも付き合わないよ。」
「なんで?」
「なんでって、いや、えっと」
どうしよう、何も思いつかない
「お互い好きなのになんで付き合わないの?」
「分からない。」
「意味わからない。どうするんだよ、歩に彼女できたら。あいつ何人に告られてるか知らないだろ。好きな人いるからって毎回断ってるんだぜ。言い方悪いけど、呑気すぎる。この前も梨花のことが好きだとか言いながら女と帰って寄り道してたし。」
何それ、私には妬けちゃうとか言いながら自分は遊んでるわけ?ありえない。
あ、そうだった。別に正式な彼女じゃないんだった。
舞い上がってたのって私だけだったのかな。




