匠
テストが終わると勉強会の時と同じ様に私の家に集まってテスト結果発表会が行われる。
そろそろ文理選択が迫られる時期であり、今日はそんな話も出た。
「さぁ、みんな見せて」
と口火を切ったのは、歩である。
「今回は結構頑張ったんだ。」
「おっいいね、梨花は文系だっけ?」
「そうそう。」
「じゃあいい感じの点数だね。」
と仲良く話していると匠が不満そうに話し始めた。
「もうさ、やめない?この集まりも勉強会も。」
そう言いだすと焦って香那がこう言った。
「なんで、なんでよ。」
「だって、意味ないだろ。向かう場所が違うのにこんな毎回毎回集まって、教えあったり、慰めあったり。いつかはみんな違う道に行ってもう交わることなんてないんだ。だったら、もう一緒に勉強したりする必要なんてないだろ。」
その言葉にみんな戸惑って言い返すことが出来なかった。
「ほら、何も言い返せないんだろ。」
「違う、違うよ。」
何か言わなければならないと思い、言い返した。
「何が違うんだよ、最近梨花だって楽しそうにしてないだろ。香那の機嫌ばっかり取って集中なんて1つもしてないだろ。」
見透かされているのだと思ったけれど、それを認めるのは悔しかったので必死にまた言い返したのだった。
「そんなことない。私は、こうやって集まって話したり、勉強したりするのとても楽しいよ。なんでそんなこと言うの?」
「ちょっとちょっとどうしたのさ、匠」
「お前もお前だよ、いつもいつもニコニコしやがって。ムカつくんだよ。もう今日は帰る。」
キレて帰ってしまった。
私の部屋には、気まづい空気が流れていた。
「今日はもう帰ろっか。」
その歩の言葉に私は救われた。
それから数ヶ月経った今も匠とは話していない。
しかし、香那は毎日の様に匠の所に会いに行ったり、連絡を取っている様であったが、匠の言葉に対して否定できない気持ちがあった私はどんな気持ちで会っていいのかわからなかったのでしばらく会いにいくことは出来なかったし、これからもいける気がしない。
そんな時だった。
歩が私に告白してきたのは。