立ち止まらない
なんか体だるいなぁ。
もう夏休み終わっちゃうのか、宿題やらなきゃ。
重たい体を起こすとなぜか香那がいた。
「え、え、え、え、え、なんでいるの。」
「あ、梨花、起きたのね。」
「え、なんで歩まで?」
驚きを隠せずにいると歩は状況説明をしてくれた。
「昨日、駿の誕生日パーティーして、そのまま泊まらせてもらったんだろ。覚えてないのか。」
そんなのした覚えはないし、疲れすぎておかしくなっているのかわたしには分からなかった。
しかし、やった覚えもなかったので否定した。
「そんなのしてない。」
おかしい、おかしすぎる。
「最近、二人とも変だよ。私はそんなパーティーした覚えないし、二人とも匠のことなんてすっかり忘れちゃって楽しんで、変だよ。」
急に空気が張り詰める。
さすがに言いすぎたかな。いや、そんなことはない。最近、二人は匠のこと忘れすぎだもの。
「え、誰それ。」
と不審な顔で二人が私を見つめる。
いよいよ、おかしくなってしまったのか。
「ちょっと待って、匠だよ、匠。」
「何言っちゃてんの、匠なんて知らない。疲れすぎじゃない。宿題やろ。」
何かがおかしい。
なぜだ。
なぜなんだ。
いつかこうなってしまうんだろうか。
それは嫌だな。
あれ。意識が…………。
再び目を覚ますと横には私の母が私に話しかけていた。
「梨花、やっと目を覚ましたのね。香那ちゃんおいで。」
さっきのが夢なのか、今のが夢なのか。
分からなくなっていた。
「大丈夫?突然私の部屋で倒れちゃったんだよ。」
思い出したぞ。そういえば香那と歩と駿くんが仲良くアニメを見ていて、前までそこには匠がいたんたと悔しく思ったことを覚えている。
熱中症かなんかかな。
でも、あの夢の記憶が鮮明でつい言ってしまった。
「香那、まだ匠のこと好きなの?駿くんがいいかななんて思っちゃってるんじゃないの?」
廊下にまで彼女の手のひらがなす音が鳴り響いていた。
「好きに決まってるじゃん。何言ってるの?そりゃいなくて寂しくなる気持ちも分かるけど、それと駿に厳しくして拒絶するのは別でしょ?違くない?梨花、変だよ。前に進まなきゃ。」
「そんなの言われなくても分かってる。
でも、でも……。」
「二人とも辞めなよ。落ち着いてよ。梨花の言うことも分かるし香那の言うことも分かる。匠のことは忘れちゃいけない。でも、駿を拒絶するのもちがう。だから、気持ちを大切にしながら生きていこうよ。最近、確かに辛すぎて忘れようとしたけれどそれは違うって気付かされた。ごめん。でも、駿とも仲良くやっていきたいんだ。それじゃダメかな。」
やっぱり歩はすごいな。自分が子ども過ぎて、駿くんに申し訳ないや。頑張って進もうじゃないか。




