本当と嘘
梨花に対する言葉はうまく見つからなくてまとまらなくて、だから、そのままぶつけることにした。
「梨花、俺は最初から最後までずっと隠すつもりだった。だけど、歩に言われてやっぱり伝えようと決めたんだ。だから梨花が責任に感じることはないんだ。むしろ俺はアメリカに行くまでの時間を梨花を含めた4人で過ごしたいと思ってる。
俺、梨花と付き合うために歩にも梨花にも最低なことしてたから許されるなんて思ってないけどみんなは許してくれると勝手に信じてる。だってずっと一緒にいたから。今はただ4人の時間を大切にしたい。」
そうすると、梨花も梨花の言葉をぶつけてくれた。
「そうだね。みんな優しいから許してくれるんだなってずっと思ってたの。それはたしかにそうなんだけどそれだけじゃないんだなって思ってさ、優しいからなんじゃなくてずっと一緒にいるとさ無条件で信じて許してくれるんだなって。私が逆の立場でもきっと許してる。それは心の広さや優しさの話じゃなくて積み重ねてきた時間の話なんだなって思えたの。だから、その時間がもう少ないなら一緒にいなくちゃだよね。ありがとう。冷静になったよ。」
俺がいなくなるまでの時間でできることなんてほとんどないのはみんな分かってて、それでも最後まで一緒にいたいと思ってくれているなら最後まで一緒にいたいと思った。
今の気持ちを改めて伝えるために4人を呼んだ。
彼らはすぐ集まってくれて、本当の本当の気持ちを伝えることにした。それはすごく緊張して、辛かったけれどそうすることにした。この4人になら本当のことを言える。今だからそう思えた。
緊張が伝わったのか歩がそっと声をかけてくれた。
「匠、どうしたの。改まって。」
その優しさに俺は耐えられなくて逃げ出してしまったんだ。せっかく俺のために集まってくれたのに。逃げて逃げて途方にくれて歩いているとスマホには大量の着信があり自分の弱さを知った。どうしようもなくなった俺は歩に電話をかけた。
「匠、大丈夫か?今どこ?」
「わからないんだ。自分がどこにいるのか。すっかり迷っちまってな。最後まで情けない奴だよ。」
「今なら話せるか?二人はいないぞ。」
「ありがとう。大したことじゃないんだ。アメリカに行くから落ち着いて伝えようと思ったけど急に恥ずかしくなって、逃げちゃったんだ。ごめんな。」
と笑ってごまかした。
「そっかそっか。じゃあ2人にも伝えておくよ。
改めて聞かせてくれよ。感謝の言葉とやらを」
「感謝の言葉なんて言ってないだろ!」
「あ、違ったか、そりゃ残念。きっと優しい匠くんだから迷惑をかけてごめんね。愛してるよくらい言ってくれるかと思ったよ。」
「う、うるせぇ。じゃあ待ってろよ、愛してるよとやらを」
「はいはい。匠」
「なんだ?」
「俺に嘘は通じないよ。」
「何言ってるんだよ。じゃあ伝えといてくれよ。よろしく。」
と焦って電話を切った。
歩は何かを察しているのだろう。
でも、やっぱり突き通さなければ嘘だってこの世にはあるんだ。




