向き合う
お待たせしました!
「みんな、帰っちまったな。」
「なんか、ごめん。」
「歩が謝ることじゃない。」
そこには久しぶりの重々しい空気が流れていた。
さっきまでは聞こえてなかった風の音も聞こえるくらい静かになってしまった。
自分の責任である以上、自分から話しかけなければ。
「なぁ、歩。俺どこから間違えたんだろ。」
と尋ねてみた。
全部だなんて言ってほしかったのか、分からないが本当の歩の声を聞きたかった。
歩は冷静に納得する答えを俺に提供した。
「アメリカに行くのが言いづらい状況になっていたのは分かるけど、アメリカに行くのが決まったのはもっと前だったんだし二人とも決まった時に言ってほしかったんじゃないかな。特に香那は。」
「そうだよな。そうだと思う。
梨花のことも追い詰めちゃったし。」
自分でばらまいた種は自分で片付けよう。
「俺、香那のところ言ってくる。
歩は梨花のフォローをしてもらってもいいか?」
「うん。わかった。」
歩の家を出て必死で探した。
家にも帰ってない。
だとすれば、いるところは一つしかない。
話しかけようとすると、香那から話し始めた。
「匠、私ね匠のこと好きなんだよ。
だからさ匠のこと言われなくても全部分かってる。本当は最後まで言う気なかったんでしょ。何の償いのつもり?歩と梨花の邪魔してごめんなさいっていう意味の償い?
私たちはずっと4人だったんだよ。この前匠の言ってた通りいつかは離れていくのかもしれない。でも、いつかまた会って仲良く話したりする4人でいたいよ。だから、話してほしかった。ほんとは、ずっとそばにいたいよ。私は匠のこと好きだからね。」
改めて告白された。
いや、俺がさせてしまったんだ。
「ごめん。」
それ以上の言葉は出てこなかった。
「謝らないでよ。好きだからそばにいたい。たとえ相手が誰を好きでもそばにいたい。匠ならその気持ち分かるでしょ。匠が梨花を好きなように私は匠が好き。
でも、あの時どんなことがあっても梨花のそばにいる。って言ったのに実際匠と付き合ったって聞いて優しくなんて出来なかった。歩って本当にすごいよ。」
「俺もそう思う。好きでいてくれてありがとう。」
「今度は梨花に謝って来なよ。あんたのせいでめちゃくちゃになったんだからね。」
と笑いながら言っていた香那の目は少し潤んでいるようにも見えた。
それだけ人を傷つけたということが分かるくらいその香那の表情が胸に焼き付けられた。
「いってらっしゃい。」
「いってきます。」
後ろで聞こえる香那の泣き声はとても悲しく辛いものだったれど、振り返ってはいけない気がした。




