やっぱり弱い自分
「いいよ。でも、私は歩が好きだよ。」
「知ってる。俺一色にしてみせるよ。」
初めて感じた唇の温もりと激しさは
匠が私を想ってくれてる優しさと熱さのように思えた。
「キスってこんな感じなんだね。」
と私が恥ずかしそうにすると
「もう一回する?」
とからかうように笑っていた。
匠のことなんて1ミリも好きじゃないのに匠と付き合っている私が誰が聞いてもおかしくて、許されるものじゃないって分かってる。
だけど、私、弱いから。
許して、香那。
その日のうちに歩にメールした。
今日、女と歩いているところを見たこと、いつも違う女と女と歩いてると聞いたこと、そして、匠と付き合うということ。
それから、しばらく学校でも顔を合わせることはなくなった。
香那が許してくれるはずもなく、ずっと匠といる。そして、その毎日を楽しもうと無理やり思い込むようにしていた。
もう4人で会うことはなくなった。もう二度と来ないのだろう。
自業自得である。
「歩からは返信返って来ないのか?」
「うん。でも、もう返って来ないと思う。」
「なんで?」
「うーん、私のことが好きじゃないからかな。」
「それでもらまだ歩のことが好き?」
「100でないけれど、多少はね。」
「そっか。」
と少し落ち込んでいた。
それを見せないように元気に話し出した。
「季節はクリスマスだ。予定開けとくんだぞ?」
「もちろん。今年は2人だね。」
「香那とも連絡取ってないのか?」
「一通だけ来たよ。付き合ってすぐに。見損なったってね。」
匠は少し俯いていた。
「ごめん。気付いてあげられなくて。」
「いいよ、自分が流されたのがいけないんだし。」
「あの状況で告白した俺にも非はあるよ。だから、クリスマスは思いっきり楽しもうぜ。」
「うん。そうだね。」
これから2人の時間が増えればきっと匠のこと好きになるよ。うん。そう信じよう。
その時はまだ知らなかった。
もうすでに歩と匠の間では話がついていたということを。
だけど、結論は分かっていた。
自分がそう仕向けたのだから。




