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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第四章 賢治の十二月二十六日~十二月二十八日
98/130

098.相談

 昼食後、コーちゃんと政晶(まさあき)君が、タオルと洗剤を白菜用のキレイな段ボールに詰めた。

 「どれ、お母さんも手伝お」

 「いいよ。俺らでやるから。なぁ、アッ君」

 「うん」

 結局、中坊二人で、箱詰めから宛名書き、料金計算、切手貼りまでやってしまった。


 その間、大人達は買物の相談をしていた。

 障子紙とローチェスト、小さい靴箱、小さい傘立て、ガスコンロ、洗い籠を買うのは、すんなり決まった。

 カラーボックスや大型家具、応接セットは買わない事も、満場一致で決まった。


 「布団は、一階にあった分、全部焼いたよな。買うのは祖母ちゃん、祖父ちゃん、豊一(とよかず)叔父さんの分でいいな。客用は要らないだろ」

 マー君が、指折り数えながら提案する。

 客用は、あっても(カビ)て腐って、雑妖の苗床になるだけだ。


 真穂が追加する。

 「ゆうちゃんのも買い替えないと、お祖母ちゃん、自分用の新品、あげちゃうよ」

 「あれっ? 追い出すんじゃないの?」

 「追い出すにしても、『お布団ないと、ゆうちゃん寒いが』って、あげちゃうよ」

 使ってたのは真綿布団だったが、干すのに重いだろうって事で、丸洗い可能な軽量布団に決まった。


 オヤジの服は作業着以外、全部捨てた。

 下着類だけ買い足す事に決定。

 祖父母は、いつもの服だけ残してあるが、こちらも下着を買い足す事になった。

 ツネ兄ちゃんが、藍ちゃんのメモを見て聞く。

 「ゆうちゃんのはどうする?」

 「流石にそれは、あげないでしょ。買わないよ」

 「じゃあ、なしで」

 真穂の一言で、あっさり決まった。


 他に買い足す物は、祖父母用の小さい電気ストーブ一台と、アルバム用の小さい本棚ひとつ。

 掃除機は軽い縦置きタイプ一台。座敷箒と庭箒一本ずつと、それぞれ用のチリトリ。

 冷蔵庫は、年寄りばっかだし、そんな食わねぇだろって事で、小さいのに買い替え。

 食器棚は、一番小さいのを残したが、それでもまだ大き過ぎる。もっと小さいのに買い替えが決まった。

 奴らは空きスペースがあると、全力で要らない物を詰めて、埋め立てるからだ。

 隙間があるのは勿体(もったい)ないって。

 充填(じゅうてん)目的で買って、使わない方が余程(よほど)勿体ないのに。


 マー君、ツネ兄ちゃん、藍ちゃんの提案で、冷蔵庫と食器棚用の地震対策グッズとかの小物類も決まった。

 あれだけ物があったのに、まともに使える物は殆どなくて、買わなきゃいけない。

 買物リストがまとまると、みんなで溜め息を吐いた。

 山端家の間取図

 挿絵(By みてみん)

 収納家具やガラクタや、ゴミ等の堆積エリアがなくなった。

 あれだけ物があったのに、使えるものが殆ど残らなかったという……

 ※黒色=部屋の存在すらよくわからない不明なエリア。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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