098.相談
昼食後、コーちゃんと政晶君が、タオルと洗剤を白菜用のキレイな段ボールに詰めた。
「どれ、お母さんも手伝お」
「いいよ。俺らでやるから。なぁ、アッ君」
「うん」
結局、中坊二人で、箱詰めから宛名書き、料金計算、切手貼りまでやってしまった。
その間、大人達は買物の相談をしていた。
障子紙とローチェスト、小さい靴箱、小さい傘立て、ガスコンロ、洗い籠を買うのは、すんなり決まった。
カラーボックスや大型家具、応接セットは買わない事も、満場一致で決まった。
「布団は、一階にあった分、全部焼いたよな。買うのは祖母ちゃん、祖父ちゃん、豊一叔父さんの分でいいな。客用は要らないだろ」
マー君が、指折り数えながら提案する。
客用は、あっても黴て腐って、雑妖の苗床になるだけだ。
真穂が追加する。
「ゆうちゃんのも買い替えないと、お祖母ちゃん、自分用の新品、あげちゃうよ」
「あれっ? 追い出すんじゃないの?」
「追い出すにしても、『お布団ないと、ゆうちゃん寒いが』って、あげちゃうよ」
使ってたのは真綿布団だったが、干すのに重いだろうって事で、丸洗い可能な軽量布団に決まった。
オヤジの服は作業着以外、全部捨てた。
下着類だけ買い足す事に決定。
祖父母は、いつもの服だけ残してあるが、こちらも下着を買い足す事になった。
ツネ兄ちゃんが、藍ちゃんのメモを見て聞く。
「ゆうちゃんのはどうする?」
「流石にそれは、あげないでしょ。買わないよ」
「じゃあ、なしで」
真穂の一言で、あっさり決まった。
他に買い足す物は、祖父母用の小さい電気ストーブ一台と、アルバム用の小さい本棚ひとつ。
掃除機は軽い縦置きタイプ一台。座敷箒と庭箒一本ずつと、それぞれ用のチリトリ。
冷蔵庫は、年寄りばっかだし、そんな食わねぇだろって事で、小さいのに買い替え。
食器棚は、一番小さいのを残したが、それでもまだ大き過ぎる。もっと小さいのに買い替えが決まった。
奴らは空きスペースがあると、全力で要らない物を詰めて、埋め立てるからだ。
隙間があるのは勿体ないって。
充填目的で買って、使わない方が余程勿体ないのに。
マー君、ツネ兄ちゃん、藍ちゃんの提案で、冷蔵庫と食器棚用の地震対策グッズとかの小物類も決まった。
あれだけ物があったのに、まともに使える物は殆どなくて、買わなきゃいけない。
買物リストがまとまると、みんなで溜め息を吐いた。