096.集積
真穂と藍ちゃんは、一番に物出しを終え、選別にかかっていた。
階段下は壊れた家電のみ。
仏間の隣は座敷で、大量の家具の上や間に、お中元お歳暮と冠婚葬祭の贈答品。立派な化粧箱に入ったまま、埃を被っていた。
応接間も、見栄張りグッズと応接セットとオーディオセットの他は、贈答品だった。
大きい家具はクロエさんと三枝さんが出してくれた。
俺とツネ兄ちゃんも選別に加わる。
「ラッピング剥がしたら、キレイなのばっかみたいだし、これは売ろう。で、小さい家具を買おう」
タオルと洗剤は、コーちゃんが教えてくれたペットNPOに送る事になった。送料は発掘した大量の切手を使う。
宛名ラベルの差出人欄を正直に書いて、お礼状とか届いたら、ジジイとオヤジがNPOに迷惑を掛けるに決まってる。だから、NPOの所在地で住所欄を埋めて、氏名はツネ兄ちゃんのヒーローにする。
捨てる物、売る物、送る物に分ける。
食品は全部、期限切れ。缶詰とか膨らんでヤバイ。
クロエさんが応接間のカーペットを丸めて持って来た。ダニと雑妖の巣だ。これで、中の物は全部出た。
「出荷用の箱でまとめて送ればいいよね。このままだと、箱多過ぎるもん」
藍ちゃんが、タオルを化粧箱から出しながら言った。
過剰包装を開封するだけでも、結構な作業量だ。その後、大量のゴミになる。NPO大迷惑だ。
「ウチの白菜の箱でいいよね。ラベルもあるし」
「いいのか?」
「お父さんが『ダメ』なんて、言うワケないじゃん」
藍ちゃんは屈託なく笑った。
タオルは一旦、ゴミ袋に集めて、ガレージに置く。洗剤類もその隣に集積。