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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第四章 賢治の十二月二十六日~十二月二十八日
95/130

095.想い

 地上に降りた太陽の炎を見ながら、マー君が思い出を語る。

 「(ともえ)の祖父ちゃんが買ってくれたんだ。三人とも同じの。母さんは経済(つねずみ)宗教(むねのり)には玩具(おもちゃ)買ってくれなくてな……」

 お揃いの玩具は初めてで、三人とも大喜びだった。

 (ともえ)の祖父ちゃんは、間違えないように足の裏に名前を書いてくれた。

 経済(つねずみ)はこの家を怖がってたけど、ヒーローをお守り代わりにして、少し落ち着いていた。

 いつもみたいに怖がらないのが面白くなかったのか、単に欲しかったのか、ゆうちゃんが取り上げて隠した。

 「……で、今頃になって見つけた訳だ」

 思い出を語り終える前に燃え尽きた。


 巴家のお祖父さんの「孫を思う気持ち」まで呑み込んで、雑妖の巣にしてしまった。

 長男以外を(ないがし)ろにする瑞穂伯母さんも、ゴミニートのゆうちゃんも、このゴミ屋敷も憎い。

 「ケンちゃん、思い出は心の中にあるから、憎まないで」

 ノリ兄ちゃんの声にハッとする。


 危うく俺も呑まれる所だった。


 「ケンちゃん、ありがとう。さぁ、早くゴミを捨てよう」

 ツネ兄ちゃんの笑顔が痛々しく、悲しい。

 怒りに任せてガンガン捨てる。

 悪趣味な絵皿かと思ったら、雑妖の目だった。

 絵皿も、何か入ってる生温かい雉の剥製も、人形もテレビの上の置物も、全部ゴミとして捨てた。


 この世にお前らの居場所なんかない。あっちの世界に帰れ。

 山端家の間取図-見栄の部屋

 挿絵(By みてみん)

 納戸と応接間(=見栄を張る為の部屋)の物を現金以外、ほぼ全て捨てた。

 ※茶色=収納家具やガラクタや、ゴミ等の堆積エリア。

 ※黒色=部屋の存在すらよくわからない不明なエリア。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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