093.見栄
十二月二十九日。
昨夜は吹雪。一晩で五十センチ近く積もった。
双羽さんが、朝食を待つ間に分家の雪下ろしをしてくれた。文字通り、朝飯前。
魔女って凄ぇなぁ。
本家の庭には、またゴミ山ができていた。
ヘドロ加減から、ゆうちゃんの物だ。
夜行性なのか。
今日は納戸の隣と仏間の隣と、階段下収納をやる予定。
優先度の高い所からやったから、ここが最後になった。
いや、後もう二部屋。
ゆうちゃんの部屋とその真下……ノリ兄ちゃんに触るなって言われた部屋がある。
ひしひしと何かヤバイ気配がして、近付くのも怖い。
小さい頃、よくこんなのの隣の部屋に住んでたよな。
ツネ兄ちゃんの提案で、居間と和室に仮置きした物を物置部屋に移した。
ウォーミングアップ完了。
今日は手分けする。
真穂と藍ちゃんは階段下。マー君、三枝さん、クロエさんは仏間の隣。俺とツネ兄ちゃんは、納戸の隣。
それぞれの場所の天井を双羽さんが洗い、三枝さんが雑妖を斬る。
雑妖の勢力はかなり衰えていた。
納戸の隣……玄関入ってすぐの部屋は、洋間だった。
ソファの上と間に段ボールが置いてある。
この部屋は、他と比べるとちょっとマシ。天井まで積み上がってない。
足付き家具調テレビの上には置物ぎっしり。棚には埃塗れのレコードプレーヤーと、たくさんのレコード。
なんちゃってマントルピースの上には、雉の剥製と鉄道模型、ごちゃごちゃした置物と止まった時計。
剥製には勿論「何か」入ってる。
飾り棚には、高そうな絵皿と骨董っぽい茶器とトロフィー。
応接間って言うか、見栄張る為の部屋だ。
俺とツネ兄ちゃんは、黙々と段ボールを運び出した。
どうせ要らないから押し込んだんだろう。中を改めるまでもない。