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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第四章 賢治の十二月二十六日~十二月二十八日
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092.団欒

 居間にゴミ袋があった。

 何かと思って覗いたら、服だった。


 ゆうちゃんは洗ってもらった後、放置してるんだ。

 コメントする気にもなれない。


 真穂がバスタオルを一枚、脱衣所の籠に入れた。

 「ゆうちゃん、お風呂の入り方、覚えてるかな?」

 「さぁなぁ?」

 藍ちゃんが呼んでくれたが、ゴミニートは返事をしなかった。

 すっかり暗くなった農道をゆうちゃん抜きで分家に向かう。


 朝から分厚い雲が空を覆っていたが、何とか持ちそうだ。

 そう言えば、ここ数日、日中は全然降らない。

 夜中にまとめて降って、夜明け前には止んでる。


 ひょっとして、屋敷神様……?


 今夜はトンカツ定食っぽい晩ご飯。ノリ兄ちゃんだけ鶏雑炊。

 叔父さんも農作業から戻って、ゆうちゃん以外、全員集合。

 「ゆうちゃん、今夜もあんな所に一人なんだねぇ」

 真知子叔母さんが、ラップを掛けながら言った。ゆうちゃんの分だ。今夜はマー君が本家に持って行ってくれた。


 ちょっとは働いたみたいだし、まぁいいか。


 「ゆうちゃんも発生源だから、居心地いいんじゃない?」

 「ゆうちゃんのお部屋も、あんなに散らかってるの……」

 ノリ兄ちゃんの返事に、叔母さんは溜め息を吐いた。


 そう言う意味じゃない。


 物理の汚部屋もだけど、ヘドロと雑妖の発生源なんだ。

 それがわかるのは、ノリ兄ちゃんと、眼を借りてる俺だけだ。言っても不快なだけだから、俺は黙ってお茶をすすった。


 「箱が傷んでても中身がキレイなら、ペットNPOが洗剤とかタオルとか、引き取ってくれるらしいよ」

 コーちゃんがA4の紙を差し出す。

 宿題の合間に調べてくれたのか。

 「ありがとう」

 「何か調べたかったら、どんどん言ってくれよ!」

 お礼を言うと、コーちゃんと政晶君は目を輝かせた。

 「ネットで遊んどらんで、勉強せいや」

 「バレたか」

 すかさず叔父さんが釘を刺す。

 何となく面白くて、みんなで笑った。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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