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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第四章 賢治の十二月二十六日~十二月二十八日
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091.倉庫

 庭に出て、倉庫の物出しに参加する。

 俺達が物を出す間、ノリ兄ちゃんはゴミを焼いてくれていた。


 現役の農機は、畑の小屋に置いてある。

 倉庫には、ほぼ壊れた物しかない。

 部品を取ると言って、ジジイとオヤジが捨てない。その為の工具と農薬と肥料とプラ籠と手作業用の鎌や(すき)が乱雑に入っていて、どこに何があるかわからない。

 破れた(むしろ)、ボロボロのマルチ、ハウスの曲がったフレーム、壊れた発電機とかどうしようもない物も入っていた。


 まず、壊れている物を全て捨てた。

 それから、同じ種類の物を集める。


 「現役の肥料とお薬は、畑の小屋にあるから、ここの口開いてるのは、捨てちゃおうよ」

 真穂が言い、開封済みの物は全て捨てた。

 ホントは農薬を捨てるのに面倒な手続きが必要だ。

 今は、ノリ兄ちゃんに焼き尽くしてもらうから、気にしない。太陽の端っこの炎で、ダイオキシンが発生する余地もない。全て無害な灰になる。


 工具は、同じ物が幾つも出て来た。錆びたり曲がったりしてるのは、捨てた。それでも複数残る。

 どうせ、見当たらなくて買った方が早いと思ったんだろう。


 無駄遣いする癖に、必要な出費は惜しむ。

 家族の為に金を使わない。

 学費も医療費も「勿体(もったい)ない」の一言で切り捨てる。

 農作業では、散々こき使われた。

 ジジイとオヤジにとって、自分以外の家族は奴隷なんだろう。


 たくさんの工具を見ているとイライラして来た。一番新しそうな物だけ一個ずつ残し、他は全て捨てた。

 空になった倉庫を双羽(ふたば)さんに洗ってもらう。

 工具を工具箱に納め、未開封の肥料と農薬、手作業用の農具、籠を種類毎に分けて、棚に収納する。

 「倉庫って、こんな……広かったんだ」

 「そうだな」

 俺と真穂は、うんざりした顔を見合わせた。


 ノリ兄ちゃんはゴミ焼き、ツネ兄ちゃんは、残った家電の動作チェック。


 仏間と納戸にあった物で、使えそうな物を居間と隣の和室に置く。

 それまでに発掘したバラのガムテープや紐も、ジャヌコでもらった段ボールに種類毎に入れた。

 部屋の奥だと取りにくいから、廊下に近い場所に並べる。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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