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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第四章 賢治の十二月二十六日~十二月二十八日
90/130

090.二階

 実家に戻ると、作業は大幅に進んでいた。

 仏間は物が全部出て空っぽ。ちらっと見たら畳の一部は腐っていた。床板も心配だ。


 ツネ兄ちゃんと藍ちゃんが、庭で選別作業をしている。

 俺達は、買って来た物を家に入れた。

 正式な設置は、畳替えの後。ひとまず居間へ。

 真穂がゆうちゃんに「手伝ってくれてありがと」と言ったが、ゴミニートは無言だった。


 やっぱ、ゆうちゃんも捨てないと、祖母ちゃんは幸せになれない。


 仏壇はキレイになっていた。

 ノリ兄ちゃんに言われて、双羽(ふたば)さんが洗ってくれたそうだ。


 ホントなら俺達がしなきゃいけないのに、申し訳なさ過ぎる。


 トイレの隣の部屋も空になっていた。ここは五畳くらいの板の間だった。納戸(なんど)だろう。

 三枝(さえぐさ)さんが、残っていた雑妖を斬っている。


 二階に上がると、ゴミニートは戸を閉めて巣に籠っていた。


 俺達は黙々と二階の廊下から、物を排除する。

 部屋の戸を塞ぐ本棚には、古びた百科事典がぎっしり詰まっている。奥付の年代は、オヤジが子供の頃。内容が古過ぎて話にならない。

 立派な事典や図鑑、全集が入っているが、読んだ形跡はない。

 読んでちゃんと勉強していれば、あんな粗野で学のない大人になってない。

 立派な本は全て、雑妖の苗床と化していた。


 カラーボックス、段ボール箱、木箱……全部、内容を確認する必要もない。

 三枝さんに軽くしてもらって、本棚ごと運ぶ。魔法で軽くすれば、真穂でも楽勝で運べる。

 三枝さん、マー君、俺、真穂、クロエさんでバケツリレー的に二階の廊下をからっぽにした。

 双羽さんが丸洗いしつつ、雑妖を退治してくれる。


 本棚に埋もれていたのは、(ふすま)だった。

 クロエさんが開ける。古い埃と一緒にヘドロと雑妖が、雪崩(なだれ)のように溢れた。

 俺の目には物体が見えない。

 視野いっぱいにヘドロと雑妖。


 もうホントいい加減にして欲しい。


 双羽さんと三枝さんが、天井を魔法で洗って雑妖を倒す。

 霊感ゼロのマー君と真穂が、入口付近の段ボール箱を持って降りた。

 空いたスペースを双羽さんが洗い、三枝さんがそこに流れ込んだ雑妖を斬る。

 魔法使い二人には、魔法に専念してもらった。

 俺達は、ひたすら物を外に出す。

 ツネ兄ちゃんと藍ちゃんには、二階の物の仕分けは断り、倉庫の物を出してもらう。


 二階の開かずの間は二部屋あり、どちらも和室だった。

 中身は全て不用品。ガラクタや、何か憑いてる古い節句飾りや、箪笥(たんす)だった。

 ここも押入れに黴布団(かびふとん)と終わってる座布団。アルバムは朽ちていた。


 俺の部屋の物は、もう全部要らない。

 今日、改めてゴミとして捨てた。


 真穂は、元々少ない荷物の中から必要最小限だけ、ジャヌコでもらったキレイな段ボールに詰め、他は全て捨てた。


 ゆうちゃんの部屋は本人にやらせる。

 山端家の間取図-仏間

 挿絵(By みてみん)

 母屋一階概略図。

 ショッピングセンターへの買出し班が戻って来ると、仏間と座敷が空っぽになっていた。

 二十年近く放置していた部屋なら、必要な物など現金と仏壇以外に何もないと思う。

 ※茶色=収納家具やガラクタや、ゴミ等の堆積エリア。

 ※黒色=部屋の存在すらよくわからない不明なエリア。


 母屋二階概略図

 挿絵(By みてみん)

 賢治は私物を全部捨て、真穂は必要な物のみ発送。

 「ゆうちゃんの部屋のゴミ、多分、あれで全部じゃないかな?」

 政治のその想定は甘かった。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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