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009.給餌
おにぎりと漬物、メモをお盆に乗せて、ゆうちゃんの部屋の前に置いて寝た。
朝、見たら、空のお皿の上にビリビリに破れたメモが散らばっていた。お皿に残ったご飯粒で切れ端がくっついてる。
何、この地味な嫌がらせ。
すっかり忘れてたけど、私、昼は学校行ってるから、ゆうちゃんは一日一食になる。
まぁ、どうせ一日中、部屋に居るんだし、死にはしないでしょ。
今夜も一応、おにぎりと焼き魚を置いた。
お祖母ちゃんとの約束だから。野菜炒めも残しといたんだけど、お父さんがおかわりしちゃった。
まぁ、昔から働く者食うべからずって言うし、別にいいでしょ。
次の朝、廊下に出て驚いた。
一日一食の筈なのに、手つかずで丸々残ってる。
私が食べるのは無理だけど、捨てるのも勿体ないから、裏の雑木林に撒いた。鴉や雀の餌。
次の日も手つかずだった。夕方、学校から帰ったら、密林の荷物が届いていた。
ゆうちゃん宛で、品名は即席麺。私のご飯は嫌だったらしい。
あっそ。じゃ、もう二度と作ってやらない。
食べないなら勿体ないし、お祖母ちゃんも許してくれるでしょ。