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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第四章 賢治の十二月二十六日~十二月二十八日
88/130

088.連行

 三枝(さえぐさ)さんが、庭中に散らばった雑妖を斬り捨てて回る。

 俺とツネ兄ちゃんで、昨日と今朝の灰袋を軽トラに積む。

 真穂と藍ちゃんが、開けられるようになった窓と雨戸を開けに行く。


 「ゆうちゃんの部屋のゴミ、多分、あれで全部じゃないかな? すみませんが、部屋の丸洗いお願いします」

 マー君が言うと、双羽(ふたば)さんはクロエさんに何か指示し、水を連れて家に入った。


 縁側に面した各部屋の障子は、破れてボロボロだ。雑妖とヘドロが縁側に流れ出ている。

 親父の隣の部屋だけ、障子ではなく木戸だ。

 マー君が、枠にへばりついた紙を剥がす。


 ツネ兄ちゃんが仏間だと言った部屋は、枠の向こうに箪笥とかがぎっしり詰まっているのが見えた。

 マー君は、障子紙が入ったゴミ袋を置き、家の奥に入った。


 ゆうちゃんの部屋の雨戸が開いた。

 灰を積み終わった俺とツネ兄ちゃん、ノリ兄ちゃんが見上げる。

 ヘドロと雑妖が、外壁を伝ってドロリと垂れた。


 まるで泥の糸。


 ゴミ袋を被せた段ボールを抱えて、クロエさんが庭に出て来た。続いて、清水を連れた双羽さん。

 それから、ややあって、マー君がゆうちゃんを引きずって来た。

 真穂と藍ちゃんも出て来る。


 俺は、軽トラにブルーシートを掛けた。

 真穂がマー君の車の助手席に座る。マー君は、ゴネるゆうちゃんを力ずくで後部座席に押し込んだ。俺も軽トラに乗りこむ。

 ショッピングセンタージャヌコへの案内看板の所まで先導し、俺はクリーンセンター、マー君の車はジャヌコへと分かれた。


 クリーンセンターの受付のおっちゃんに顔を覚えられてしまった。

 「よお。頑張ってるな」

 そのたった一言が胸に染みて、ただただ頷いた。

 すぐにセンターを出て、ジャヌコへ向かう。

 クリーンセンターは、大勢の人の色んな想いがこびり付いた物がいっぱいで、息苦しかった。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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