表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第一章 真穂の十二月
8/130

008.助力

 私は計画の詳細と、旅行プランのリンクを送った。


 二十二日、終業式が終わったら、菜摘ちゃんと二人で、高校の卒業旅行に行く。

 三学期の登校日は少ないから、今の内にって事で。

 私はフリだけで、空港でアリバイ写真を撮って、お祖父ちゃんとお父さんが出発するまで時間を潰す。

 菜摘ちゃんは、本当に旅行に行って、自撮写真を撮って、お土産を買って来て貰う。

 私は帰って大掃除。勿論、近所の人達には、口裏合わせを頼む。まず、断られない。

 みんな、ウチが産廃置場みたいなゴミ屋敷なの知ってて、何とかして欲しがってる。

 消防団長さんとか、「防災上、問題があるから処分して欲しい」って時々言ってる。

 旅費とお土産代は私が出す。写真はフリーソフトで頑張って、私の写真と合成する。


 菜摘ちゃんは、お金の事はいいよって言ってくれたけど、「バイト代だと思って、受け取って」って頼んで、引き受けてもらった。


 ……よしッ! アリバイ要員確保ッ!


 私は一人で小さくガッツポーズした。頼もしい幼馴染だ。

 次は説得要員。

 私が「旅行に行く」なんて言ったら、絶対、反対される。

 だから、また住職さんにお願いする事にした。申し訳ないし、情けないけど、これもお祖母ちゃんと私の未来と地域の安全の為だ。

 私は、ひとつ深呼吸してから、歌道寺に電話した。一階に聞こえないように小声で話す。


 住職さんは、もうお祖母ちゃんが怪我をした事を知っていた。

 「真穂ちゃんには悪いが、案の定……と思うとったげ。ゴミやガラクタと一緒に悪いモンも溜まっとるげ、弱いモンに祟るんじゃ」

 ひとしきりお説教した後で、快く引き受けてくれた上、ゴミ捨ての手伝いも申し出てくれた。

 流石にそれは申し訳なさ過ぎるので、丁重にお断りする。

 「さよか。ゴミは処理場に直接持ち込めるげな。場所がわからなんだら、連れてったげるげ、ついでにゴミも運ぶぞ?」

 「有難うございます。頑張ります」

 頭を下げながら、電話を切った。


 住職さんは御仏の化身かもしれない。お気持ちだけで、「ありがたや、ありがたや」ってなる。ホントに申し訳なさ過ぎる。

 これで、住職さんにも、ご近所さんへの根回しを手伝って貰える。

 知らぬはお祖父ちゃんとお父さんだけになるのも、時間の問題だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ