表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第四章 賢治の十二月二十六日~十二月二十八日
77/130

077.対面

 「そんな不審者を見るような顔をしないでくれる? 経済(つねずみ)だけど、忘れた?」

 「ツネちゃん、オバケ怖いから、もう本家には来ないんじゃなかったのか?」

 やや間があって、ヘドロが見下した声で言った。


 いや、(むし)ろお前がオバケだ。


 「今年はそのオバケ達を何とかする為に来たんだ」

 ツネ兄ちゃんは、オバケにちゃんと返事をしている。


 ひょっとして、これ、ニートのゆうちゃんか?


 ツネ兄ちゃんだけに相手させるのは申し訳ないから、俺はニートに近付きながら、マスクを外した。

 「俺の事はわかるかな?」

 ヘドロは返事をしなかった。

 俺は吐き気を(こら)えて言葉を吐き捨てた。

 「従弟(いとこ)はわかるのに、自分の弟がわかんねーとか、何なんだよ、アンタ」

 「えっ?マジ?ホントに誰かわかんないの?」

 「じゃあ、私ら、もっとわかんないよね?」

 真穂と藍ちゃんが、呆れ返って半笑いになる。


 「あ、でも、私はホントに初めましてだから、ちゃんとご挨拶しとこっと。私、ゆうちゃん達の従妹(いとこ)、分家の長女の山端藍(やまばたあい)。大学一年生です」

 藍ちゃんが律儀に自己紹介して、ぺこりとお辞儀する。


 真穂もそれに(なら)った。

 「ずっと同じ家に住んでるのに『初めまして』って言うのは、絶対、おかしいと思うんだけど……一応、ね。ゆうちゃん、私は妹の真穂、高三です。……声だけは、知ってるよね?」

 「い、いや、つーか、今年は離れ小島に行かなかったのかよ?」

 「俺らは大掃除するから残った。今年はジジイとオヤジだけで行ってる」


 不愉快極まりない。

 お前も大掃除に参加しろよ。ゴミニート。


 「え? 同居の弟妹(きょうだい)とホントに初対面なのか? ゆうちゃん、一体、何年ひきこもってたの? ケンちゃんって今、大学四年生だぞ?」

 ツネ兄ちゃんが呆れつつ、ニートの一番痛い所を的確に突いてくれた。ザマァ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ