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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第四章 賢治の十二月二十六日~十二月二十八日
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076.感覚

 農協の封筒だ。

 中をチラ見して、心臓が止まりそうになった。


 札束が入ってる。


 ツネ兄ちゃんに言われて、中身をブルーシートの上に出した。

 百万の帯封(おびふう)二本と十七万円と五千円と小銭が六百十一円。

 払戻票の控えも入っていた。

 払戻は、俺が生まれる三年前の日付けだ。


 「定期が満期になったのを現金で持って帰って放置……か。豪快だなぁ」

 ツネ兄ちゃんが呆れて笑う。

 これだけあれば、真穂を公立に進学させるくらい、楽勝なのに。


 ジジイの金銭感覚がマジでわからん。


 封筒に戻す。

 後で祖母ちゃんにどうするか聞きに行く。


 祖母ちゃんを分家で引き取っても、ジジイに連れ戻されるかもしれない。

 老人ホーム代の足しにでも……


 気を取り直して、選別作業を続けていると、クロエさんが出て来た。

 後ろにヘドロの塊がついてくる。

 ヘドロの塊は周囲を見回し、俺達の所で視線を止めた。

 顔も何もわからない。雑妖が何百匹もしがみついていて、本体が見えない。

 俺は思わず、シートの上に立ち上がった。


 クロエさん、後ろーッ……!


 ツネ兄ちゃんが、マスクを外して、ヘドロに笑顔を向けた。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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