073.朝食
十二月二十七日。
朝食後、さて、行くかって時に、近所の人が酒持ってやって来た。ノリ兄ちゃんが王子様だと知って、ゴマすりに来たらしい。
ノリ兄ちゃんは、「僕、お酒飲めないんです」って素で断った。それでも強引に勧めて来るのを、マー君と叔父さんが引き受けてくれた。
俺達はその隙に本家へ向かった。
リフォームしたかと思うくらい、キレイになった台所で、クロエさんに簡単な朝食を作ってもらう。
食材は分家のを少し分けてもらった。
食器は、箱に入ったままだったキレイな物。
フライパンは新品同様の粗品一個。
鍋も、手付かずの粗品で、片手鍋と両手鍋、土鍋が一個ずつ。
それ以外、何もない。
ちゃんと換気扇も回る。
昨日の蟲地獄が嘘のようだ。
土鍋で米を炊いて、お歳暮の出汁を使って出汁巻き卵を焼く。
美味そうな匂いで起きて来るかと思ったけど、ニートは動かなかった。
「今日は、お父さんの部屋と、居間の隣の部屋を集中してやります。今日からは、オマケみたいなものだから、気楽にお願いします」
真穂がぺこりと頭を下げ、俺もそれに倣った。
ノリ兄ちゃんの命令で、クロエさんが朝食をお盆に乗せて、二階に上がる。