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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第四章 賢治の十二月二十六日~十二月二十八日
72/130

072.無双

 俺達が戻ると丁度、祖父母ルーム南半分の物出しが終わった所だった。

 和箪笥(わだんす)に着物とか入ってたけど、どれも虫食いでボロボロ。

 祖父母ルームの物で残ったのは、通帳とかの貴重品といつもの服、アルバム、古ぼけた金庫だけだった。


 押入れは、酷い状態だった。

 予備の布団は全部腐ってカビが生えて、虫ときのこの巣。カビと腐汁と虫の糞に汚染されて、押入れ内の他の物も終わっている。

 押入れ本体にもカビが生えて、そこに雑妖がギュウギュウの満員で、この世の終わりみたいな地獄絵図だ。


 コンクリートで埋めてしまいたい。


 双羽さんが、水に塩素系漂白剤を大量投入して、押入れに流し込む。

 魔法なのか、塩素が効いているのか。水に触れた雑妖が、一瞬で消滅する。

 双羽さんは、塩素水を押入れ全体に行き渡らせ、そのまま放置した。

 別の水塊で南半分の部屋を洗浄する。


 呆けてる場合じゃない。


 俺は、賞味期限が切れていないお中元、お歳暮を物置部屋に運ぶ作業に戻った。

 ガレージに入れていた箱を運び、設置したスチールラックに置く。中身を出して、種類毎に透明のケースに収める。

 「どこに何が幾つあるか」一目で在庫が把握できる配置にした。

 ケースに入ってれば、鼠とかに荒らされずに済むだろう。多分。

 ガレージに仮置きしていたテレビとコタツも、こっちに移した。

 祖父母ルームで発掘した古びた金庫も、ひとまずここに仮置き。

 物置部屋は、元「鼠地獄」とは思えない、清潔な倉庫になった。


 消防団長が呼びに来た。

 真穂が一応、声を掛けたが、ゆうちゃんは相変わらず来ない。


 あのニートも何とかしないと……


 あんまり大勢で行ってもアレだから、地元代表は米治叔父さん一人。

 (ともえ)一家と騎士二人と使い魔は、マー君の車で区長の家に向かった。


 もう日が暮れたから、俺達は戸締りして、分家に戻る。

 みんなが戻って来るまで待つ間、俺はコタツで考えた。

 大掃除の人手は十人、内三人が魔法使い、一人は人外。

 俺と真穂二人だけで頑張ろうなんて、無謀だった事を思い知らされた。


 汚屋敷(おやしき)レベルが高過ぎる。


 魔法使いが洗剤で無双して、超火力で焼き払わなきゃ、どうにもならない。

 もし、プロを雇ってたら、人海戦術で、業務用洗剤&高圧洗浄機&スチームモップ無双、クリーンセンターに搬入しまくりってとこか。


 どんだけ金掛かったろう?

 取り壊した方が安かったかもなぁ……

 親戚で元手がタダの魔法でも、プロ並みのお礼しなきゃ、申し訳なくてヤベェ……

 ってかあのニート、あんだけバタバタしてても出て来やがらねぇ。

 ホント、どうにかしねぇと、祖母ちゃん、ゴミニートの為に本家に帰って、今度こそ寿命の前に死ぬかも知れん。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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