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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第四章 賢治の十二月二十六日~十二月二十八日
69/130

069.混沌

 ここから賢治視点開始。

 驚異の超スピードで、必要最低限の掃除は終わった。

 庭、ガレージ、玄関、廊下、風呂、トイレ、台所、祖母ちゃんの部屋。それだけじゃない。居間と物置部屋までキレイになった。

 階段下で、隠し部屋みたいなのも発見した。

 掃除がまだの部屋から雑妖が出てくるけど、生活スペースの安全は確保された。


 「曾孫(ひまご)の顔も見せたいし、大掃除の報告しに、お見舞いに行こう」

 マー君の提案で、メシの後、祖母ちゃんのお見舞いに行く事になった。

 マー君一家と騎士、叔父さん、藍ちゃん、コーちゃん、俺、真穂の大人数。

 叔父さんとマー君が車を出す。

 俺は灰を積んだ軽トラ。ついでに捨てて買出しにも行く。


 走り出してすぐ、俺は一人で軽トラに乗った事を激しく後悔した。

 ウチの外にも、化け物がうようよ居る。

 それは、ノリ兄ちゃんに教えてもらって覚悟していた。分家にもちょっと居たし、寝てても何か凄え悪夢を見た。


 でも、交通事故に遭った人が、その辺うろついてるとか、聞いてねえ。


 はっきり視えるけど、対向車がぶつかっても素通りしてるから、生身じゃない。

 道が矢田山(やだやま)市内に入ると、一気に数が増えた。

 特に何かしてくる訳じゃない。でも、グロ耐性の低い俺のメンタルは、病院に着く頃にはボロボロだった。


 ノリ兄ちゃん凄えよ。

 こんなの毎日見て、のほほんとしてられるって、ハンパねぇ。


 何とかコインパーキングに軽トラを止めた。

 病院を視て、足が竦む。


 混沌。


 キレイな光の帯と、何だかよくわからないドロドロの物が、入り混じって病院を包んでいる。

 でも、ここまで来て退く訳にはいかない。みんなに合流して、祖母ちゃんの病室に向かった。


 「ケンちゃん。前にここ来た事ある?」

 「あ、あぁ、うん」

 「じゃあ、大丈夫だよ。視えるだけで、直接影響はないよ」

 ノリ兄ちゃんに言われて、少しマシになったけど、俺の足はまだ震えていた。

 すれ違う入院患者が、生身の人とそうでない人と、どっちかわからん人が混じってて、どこを視ても怖い。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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