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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第三章 真穂の十二月二十五日~十二月二十六日
68/130

068.挨拶

 私はピックアップした物をガレージに運んだ。

 ノリ兄ちゃんが、ゴミの山を焼いていた。

 駐在さんと消防団長さんが、敷地の外から呆然と、白い炎が踊る黒い柱を見上げている。

 炎と柱が消えて、灰の山が残った。


 何回見ても凄い。


 三枝(さえぐさ)さんが水を操って、灰を溶かす。私はゴミ袋を広げて、灰捨てを手伝った。

 我に返った二人が、ノリ兄ちゃんに声を掛ける。

 「朝から精がでますな」

 「殿下、もし、後で何か言われたら、我々におっしゃって下さい。真穂ちゃん達もな。祖父ちゃんに怒られても、我々は真穂ちゃん達の味方だ」

 駐在さんの言葉が嬉しくて、涙が込み上げる。

 家族よりも、他人の方が優しくてあたたかい。

 私は何も言えなくて、二人に深く頭を下げた。


 「住人には説明しましたげ、何人か『本人が直接挨拶せい』ってゴネましてね。殿下、申し訳ありやせんが、後でお時間、頂戴できませんでしょうや?」

 消防団長さんが、ノリ兄ちゃんに精一杯の敬語で言った。

 きっと、(なわて)さんだ。

 ノリ兄ちゃんは普通にOKしてくれた。


 気さくな王子様……


 段ボールを抱えた叔父さんが出てきて、夕方、区長さんの家に集まる事に決まった。

 二人はノリ兄ちゃんと叔父さんに何度も頭を下げながら、帰って行った。


 午前中だけで、台所、廊下、物置部屋、居間と、お祖父ちゃんお祖母ちゃんの部屋の半分が片付いた。半分って言うのは、押入れはまだだし、箪笥を除けたら襖が出てきて、もう一部屋あったから。


 コーちゃんと政晶(まさあき)君が、ご飯に呼びに来た。

 灰袋を軽トラに積んで、分家に引き揚げた。

 真穂視点、一旦終了。


 山端家の間取図-最低限の生活空間

 挿絵(By みてみん)

 最低限の生活空間+α(庭、ガレージ、玄関、廊下、風呂、トイレ、台所、祖母ちゃんの部屋、居間と物置部屋)を確保した。

 ……図は、うっかり祖父母の部屋の押し入れもキレイになっていますが、この時点ではまだです。

 ※茶色=収納家具やガラクタや、ゴミ等の堆積エリア。

 ※黒色=部屋の存在すらよくわからない不明なエリア。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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