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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第三章 真穂の十二月二十五日~十二月二十六日
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067.ポイ

 ツネ兄ちゃん達は、新品のDVDと切手と商品券を発掘して、捨てないようにどけてくれていた。

 もうそんな丁寧にしてくれなくても、全部捨ててくれるだけで充分なのに。有難過ぎて泣きそうになる。

 「リモコンが埋まってるだろうから、探しながらやってるんだ」

 マー君に言われてやっと気付く。


 それかぁ。使わないのが普通だったから、忘れてた。


 「エアコンとか、買い替えるからいいです。気にしないで」

 私は宣言して、スコップで汚洋服(おようふく)の山を掘った。


 雪かきよりキツイ。精神的な意味で。


 どんどん籠とゴミ袋に詰める。三人もガンガン捨ててくれた。


 藍ちゃんが、長押(なげし)に掛けっ放しだった作業服を除けた。ハンガーも錆びてるから、ゴミ袋にポイ。その下から襖が出て来た。

 襖の足元には、カラーボックスが四つ。全部、雑誌とビデオテープがぎっしり。


 DVDと切手と商品券は、マー君の提案で売る事になった。

 現役のテレビと、発見したリモコンふたつと、こたつ本体だけガレージに入れる。

 他は全部捨てた。

 蜜柑の腐汁で、畳も腐っていた。新品を発注してもらっててよかった。


 双羽(ふたば)さんは、鼠の巣だった物置を洗った後、念入りに熱湯ですすいでから、業務用サイズの塩素系漂白剤を三本、冷水に混ぜて消毒してくれた。


 居間の隣の部屋は後回し。

 先にお祖父ちゃんお祖母ちゃんの部屋を片付ける。


 物置の消毒が終わった双羽(ふたば)さんが、居間の丸洗いを始めた。


 「ここは通帳とか、大事な物があると思うから、慎重に行こう」

 マー君が、社会人らしい忠告をしてくれた。

 プライバシーとか気にしてる場合じゃない。


 部屋は、入口の襖以外、全部箪笥に囲まれていた。

 老夫婦にこんなに服が要る訳ない。

 実際、いつも同じ服をローテーションしてるし。箪笥(たんす)に入りきらないのか、床にも服の山があって、畳が見えない。

 箪笥の上にも、置物とか箱とか積んであって、地震が起きたら絶対ヤバイ。

 布団は敷きっ放し。

 小さい卓袱台(ちゃぶだい)の上には、ごちゃごちゃ物が乗っている。足の踏み場どころか、天井以外に隙間がない。


 「普段着てる服は気に入ってると思うから、それだけ残して後は全部捨てて下さい」

 「箪笥に重要書類仕舞ってたりするから、一段ずつチェックしてから捨てような!」

 マー君に言われると、そうせざるを得ない。


 まずは床を開ける為に、物を外に出す。現役の服は、私がピックアップ。他のみんなが、その他の物をゴミ袋に入れる。

 山端家の間取図-鼠を殲滅

 挿絵(By みてみん)

 台所の隣で通路と物置部屋を発見。双羽さんが鼠を殲滅し、消毒した。

 ※茶色=収納家具やガラクタや、ゴミ等の堆積エリア。

 ※黒色=部屋の存在すらよくわからない不明なエリア。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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