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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第三章 真穂の十二月二十五日~十二月二十六日
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066.居間

 ツネ兄ちゃんとマー君と藍ちゃんとクロエさんには、台所の隣にある居間の物出しをしてもらう。

 使ってる部屋だけど、人が住めるレベルじゃない。


 鼠の糞を受けた袋は、すぐにずっしり重くなった。

 床と天井がキレイになる頃には、袋は八割方いっぱいになった。鼠の尿臭が目にしみる。

 私がゴミ袋を捨てに行き、お兄ちゃんは物置の中身を運び出す。私と叔父さんもすぐに戻って、物出しに取り掛かった。

 壊れた扇風機や古いテレビ、ラジオ、何に使うかわからないくらい古い家電製品、段ボール、衣裳ケースとかがぎっしりで、全部に鼠の尿臭が染みついていた。表面を洗っただけじゃ取れないらしい。マスク越しでもキツイ。目にしみて涙が出る。

 重い物はクロエさんに頼んで、他は身内で運んだ。


 「居間の物は全部汚いから、現役のテレビとこたつ本体以外、捨てて」

 こたつ布団は、お祖父ちゃんとお父さんの食べこぼしだらけ。こたつの上も、ダイニングテーブルとほぼ同じ。古新聞、古雑誌、蜜柑の皮や汚れた食器、灰皿、お菓子の袋、郵便物、紙袋、割り箸、調味料が乗ってる。

 ご飯の時だけ、ちょっとスペースを開ける。

 畳の上は、足の踏み場もない。

 ゴミはポイ捨て。煙草の吸殻も山盛り。服は脱ぎ散らかして、山になってる。スナック菓子やおつまみの袋は、半分くらい残ってても次を開けるし、台所に置ききれない食器も隅に積んである。古新聞、古雑誌も山積みで、その山が崩れた上に更に積んでる。勿論、掃除できないから、埃だらけ、抜け毛だらけ。

 カーテンと壁紙もヤニでベタベタ。蛍光灯の笠もヤニで茶色い。上には埃の山。

 テレビのリモコンはどっか行ってるから、手動でチャンネルを変えてる。リモコン必須の機能は、使った事がない。

 エアコンのリモコンもどっか行ってて、冷房と暖房の切替は手動だけど、それ以外は点けっ放し。資源の無駄遣いしまくり。

 テレビ台の上には、もう使えない古いテレビと、現役の薄型テレビと、壊れたビデオデッキが乗ってる。

 畳の上には、台の中に入りきらないビデオテープが溢れてる。録画するだけで満足して、もう絶対見ないだろうに、捨てさせてくれない。デッキが壊れても、修理に出さない。

 DVDレコーダを買ってきたけど、使いこなせなくて、埃を被ってる。失敗したDVDと箱買いした新品が、これまたてんこ盛り。

 冬も暖かいから、年中ゴキブリが居る。暖かいのに蜜柑を段ボール箱に入れて置いてるから、すぐ腐る。


 何、このゴキブリ無限増殖システムは?


 物置部屋の物を出しながら、居間の惨状を思い出して、申し訳なさで泣きそうになる。

 全部出し終えてすぐ、野菜の大プラ籠とスコップを持って居間に入った。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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