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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第三章 真穂の十二月二十五日~十二月二十六日
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065.物置

 たくさんの鼠が、驚いて部屋を走り回る。

 双羽(ふたば)さんがピシャリと戸を閉めた。

 私達はびっくりし過ぎて声も出せない。


 物置部屋って言うか、鼠の巣だった。


 「始末します。ゴミ袋をご用意下さい」

 双羽(ふたば)さんは冷静に宣言した。私達は言われるまま、ゴミ袋を取りに戻った。

 庭に出ると、曲がり角の先を埋めていた物も、灰にしてくれていた。

 「生き物がいっぱい居る部屋、掘り出したんだ?」

 「えっ? あ、あぁ、うん、はい」

 ノリ兄ちゃんに声を掛けられて、なんだかよくわからないまま頷いた。ガレージからゴミ袋の束を出して戻る。

 「終わりました。苦手な方は、ゴミ袋を置いて退がって下さい。クロエ、お前もです」

 米治叔父さんだけが、ゴミ袋の口を広げて待機。後はみんな台所に入った。


 台所は、小さい冷蔵庫だけがポツンと残っていた。これもひょっとしたら、後で捨てるかも。取敢えず、中身を空にして置いてある。

 ヘドロが詰まっていたシンクはピカピカ。

 天井も床も壁も、全く汚れが残っていない。


 ここって、こんなに広かったんだ……


 学食の厨房と同じくらいあるかもしれない。ガランとした台所の広さが寒々しい。

 叔父さんは、口を(くく)った重そうなゴミ袋を両手に提げて、無言で庭に出た。


 げっ……あれ、全部鼠……


 双羽さんは顔色ひとつ変えず、クロエさんに命令して死体袋を運ばせた。

 水が、台所の隣室の床を洗っている。水は、数え切れない鼠の糞を含んで、黒い泥になった。私が水に洗剤を足して、お兄ちゃんはゴミ袋の口を広げて待つ。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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