064.廊下
物を除けて、わかった事がある。
お祖父ちゃん達の部屋と台所の間には、廊下がある。
台所は南北に細長くて、北半分は居間に面している。台所の入口は、玄関からまっすぐ伸びた廊下の突き当り。
どう考えても、南が余る。
お祖父ちゃん達の部屋の隣は、壁だと思ってた。よく見たら、立派な箪笥の裏側だった。廊下は、台所の手前で曲がり角になっていた。
生まれて十八年、ずっと住んでたのに、知らなかった。
クロエさんに手伝ってもらって、箪笥とか、廊下を塞いでいる物を庭に出す。
今日は昨日のメンバーに、最初から叔父さんとマー君も居るから、更に早い。
「何でこんな、隠し通路みてーになってんだよ。知らねーぞ。こんなの」
お兄ちゃんも知らなかった。
二十年以上埋まってたって事は、要らないって事だよね。
立派な着物とか入ってたとしても、どうせ昨日みたいに虫の餌になってそうだし。中身を見ないでゴミ焼き円にどんどん持って行く。
埃、蜘蛛の巣、虫、鼠の糞。
もういい加減にして欲しい。
野菜の大プラ籠を持って来て、朽ちた行李とか段ボールとかを入れて運ぶ。みんなで何往復もして、廊下の突き当りまで空にした。
双羽さんに魔法で洗い流してもらう。
廊下の突き当たりで、引戸を発見。やっぱり台所の南隣にも部屋があった。
突き当りの戸は、何か引っかかってて開かなかった。台所の隣は、戸が少し開いている。お兄ちゃんが戸を開けて、双羽さんが魔法の灯を点した。