060.仕分
私と藍ちゃんは、庭に出した物の選別に入った。売る物、捨てる物、残す物を仕分けする。
お兄ちゃん、叔父さん、ツネ兄ちゃん、マー君、クロエさんは、台所の物出しの続き。双羽さんは洗浄。手分けして、それぞれの作業をガンガン進める。
「オヤジ達、こんなもんまで取っとるが……」
米治叔父さんは、呆れながら物出しをしてくれた。
ゴミしかなくて、ゴメンナサイ。
私と藍ちゃんは、時々相談する以外は無駄口を叩かず、ひたすら選別。
どんどんゴミの山が大きくなる。
お祖父ちゃんは、欠けたり割れたりした食器も、「金継ぎすりゃ使える」って捨てさせてくれない。でも、職人さんには一度も持って行った事がない。
何でも、そう。
捨てたら勿体ないって怒るだけ。
手入れしないし、使いもしない。
不用品は場所を塞いで汚いだけ。
どう勿体ないのか理解できない。
お祖父ちゃんが「勿体ない」って言う物は、何も残したくない。
「真穂、査定の結果、来てないか見てくれるか?」
「あ、う、うん」
集中し過ぎて、お兄ちゃんに言われるまで全然気づかなかった。
いつの間にか、ノリ兄ちゃんと三枝さんも来ていた。叔父さんとお兄ちゃんとマー君が、ウチの軽トラとマー君の車に売る物を積んでいる。
結果と地図をプリントして、お兄ちゃんに渡した。叔父さんが地図を覗く。
「この辺、道が入り組んどるげ、先導するが」
車三台が、灰と過剰在庫を積んで出発した。
私と藍ちゃんは、ちょっとだけ手を振って見送って、すぐ作業に戻った。
冬の日は短い。
一瞬でも惜しかった。
※金継ぎ
破損した陶磁器の修理方法のひとつ。
漆を接着剤として破片を繋ぎ合わせ、亀裂を金で装飾&補強する。
障子で言えば、破れ目に花の形に切った千代紙を貼って穴を塞ぐ感じ。