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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第三章 真穂の十二月二十五日~十二月二十六日
60/130

060.仕分

 私と(あい)ちゃんは、庭に出した物の選別に入った。売る物、捨てる物、残す物を仕分けする。

 お兄ちゃん、叔父さん、ツネ兄ちゃん、マー君、クロエさんは、台所の物出しの続き。双羽(ふたば)さんは洗浄。手分けして、それぞれの作業をガンガン進める。

 「オヤジ達、こんなもんまで取っとるが……」

 米治叔父さんは、呆れながら物出しをしてくれた。


 ゴミしかなくて、ゴメンナサイ。


 私と藍ちゃんは、時々相談する以外は無駄口を叩かず、ひたすら選別。

 どんどんゴミの山が大きくなる。

 お祖父ちゃんは、欠けたり割れたりした食器も、「金継(きんつ)ぎすりゃ使える」って捨てさせてくれない。でも、職人さんには一度も持って行った事がない。


 何でも、そう。

 捨てたら勿体(もったい)ないって怒るだけ。

 手入れしないし、使いもしない。

 不用品は場所を塞いで汚いだけ。

 どう勿体(もったい)ないのか理解できない。


 お祖父ちゃんが「勿体(もったい)ない」って言う物は、何も残したくない。


 「真穂、査定の結果、来てないか見てくれるか?」

 「あ、う、うん」

 集中し過ぎて、お兄ちゃんに言われるまで全然気づかなかった。

 いつの間にか、ノリ兄ちゃんと三枝(さえぐさ)さんも来ていた。叔父さんとお兄ちゃんとマー君が、ウチの軽トラとマー君の車に売る物を積んでいる。


 結果と地図をプリントして、お兄ちゃんに渡した。叔父さんが地図を覗く。

 「この辺、道が入り組んどるげ、先導するが」

 車三台が、灰と過剰在庫を積んで出発した。

 私と藍ちゃんは、ちょっとだけ手を振って見送って、すぐ作業に戻った。

 冬の日は短い。

 一瞬でも惜しかった。

金継(きんつ)

 破損した陶磁器の修理方法のひとつ。

 漆を接着剤として破片を繋ぎ合わせ、亀裂を金で装飾&補強する。

 障子で言えば、破れ目に花の形に切った千代紙を貼って穴を塞ぐ感じ。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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