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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第三章 真穂の十二月二十五日~十二月二十六日
57/130

057.台所

 私達はついに、汚台所(おだいどころ)と対峙する。

 入口にジャラジャラうるさい玉暖簾(たまのれん)。勿論、油煙とヤニでベタベタ。

 何の為にあるかわからない。外して捨てる。

 灯のスイッチは、大きい食器棚に埋もれてるから、操作した事がない。

 夜でもずっと点けっ放し。エネルギーの無駄遣い。

 食器棚の上にも段ボール。前にはカラーボックスがあって、その上にもカラーボックスと段ボールが積んである。食器棚はそう言う物に埋まっていて、食器を片付けられない。壁は全く見えない。


 台所の真ん中には、六人掛けのダイニングテーブル。食べこぼしとヤニと油煙でコーティングされて、脚までベタベタの真っ黒。

 テーブルの上には、食器棚に入りきらない食器やレシピの切り抜き、公共料金の明細や郵便物、レシート、古新聞、油煙でギトギトになった百均のプラ籠、調味料の小瓶や乾物、新品も使い掛けもごちゃ混ぜで満載。

 プラ籠の中身は割り箸、レジでくれるスプーン、フォーク、ストロー、お手拭きと紙類。

 黴た割り箸や欠けたお茶碗でも、捨てたら怒られるから放置。

 テーブルの下には、ジャガイモ、玉葱、大根とかの根菜類が入った段ボールが置いてあって、仮に椅子に座れたとしても、足を入れる余地はない。

 勿論、ここの食材も芽が出たり腐ったりして、ドブより酷い臭い。

 私が生まれる前からずっとここに置いてある。

 各椅子の上には、郵便物、ビニール袋、汚れたエプロンやタオル、インスタント食品入りの段ボール、古新聞、古雑誌、汚座布団が居座っていて、人間は座れない。

 鼠やゴキブリの特等席。夏はハエも大喜び。

 背もたれにも、色々な物が突っ込まれて膨らんだビニール袋や、エコバッグが掛かっていて、座面に物を乗せていないとバランスが崩れて倒れてしまう。


 テーブルセットは完全に使用不能。

 年中、居間のこたつで食べている。


 床は油や野菜屑がこびり付いていて、鼠やゴキブリの糞で真っ黒。

 天井も、ヤニと油煙でギトギト。

 蜘蛛の巣は埃と油煙が絡まって、黒い氷柱みたいに垂れ下がっている。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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