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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第三章 真穂の十二月二十五日~十二月二十六日
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053.護衛

 「お呼び立てしてすみません。俺の事は、覚えてますよね?」

 マー君が言うと、区長さんが顔をくしゃくしゃにして笑った。

 「マー君が。よう覚えとるげな。瑞穂の旦那そっくりになって……」

 「父さんを覚えてるなら、話が早いや。父方の曽祖母(そうそぼ)が、ムルティフローラ王国の王女なんです。宗教(むねのり)は王位継承順位、最下位だけど一応、王族の端くれ。後ろの二人は、護衛の近衛騎士」

 みんなびっくりし過ぎて、声も出ない。


 「ムルティフローラは魔法文明国で、魔力が足りないと王家と血縁でも、王族とは認められません。宗教(むねのり)だけ魔力があって、他のみんなはないから、単にこの国の庶民です」

 「それで、僕だけ十八歳の時にムルティフローラ国籍にして、今は教授の在留資格で、この国に住んでます」


 藍ちゃんが、恐る恐る口を開いた。

 「あの……ひょっとして……王子様?」

 「声変わりしてなくて、声はこんなだけど一応、男だから、そうなるね」

 ノリ兄ちゃんから、微妙にズレた答えが返って来た。

 「親戚に会いに来ただけだから、普通に親戚扱いして下さい。護衛も別に要らな……」

 「殿下。少しは懲りて下さい」

 「……はい。ごめんなさい」

 双羽さんから怖い声が降る。ノリ兄ちゃんは小さな声で謝った。


 「県警の方々にもお伝え致しましたが、通常の地域巡邏(ちいきじゅんら)で結構です」

 「失礼ですが、お二人で大丈夫ですか?」

 「万一の事態があれば、賊は魔法の使い手である可能性が高く、この国の警察では、対応に限界がございますので」

 双羽さんと駐在さんの遣り取りをみんな、呆然と聞いてる。


 何コレ凄い。この人達、本物のSP?

 映画みたい。っていうか、親戚に王子様が居るとか、聞いてないよ。


 「クロも居るから、普通の強盗とかなら、大丈夫ですよ」

 ノリ兄ちゃんが黒猫を抱き上げて、にっこり笑う。

 クロは澄んだ声で、ニャーンと言った。


 「任せろ!」的な意味?

 可愛いけど、猫じゃ強盗、無理でしょ。


 「クロは僕の使い魔で、魔法生物だから、魔法の使えない人が相手なら、大丈夫ですよ」

 「マホウセイブツ?」

 幾つもの声が重なる。


 何それ?


 「魔法で人工的に作られた一世代限りの生物で、能力は個体差があります。クロは、僕の魔力を食べるから、基本的にご飯は要りません。人間よりずっと力持ちで、色々変身できて、とっても役に立つんです。ねーっ?」

 ノリ兄ちゃんに同意を求められて、クロはニャーンと返事した。褒められて気をよくしたのか、ゴロゴロ喉を鳴らし始めた。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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