052.招集
会えなかった時間を埋めるように、あれこれお喋りしながら、楽しく箸が進む。
ウチの食事風景とは、全然違う。
会話なんてない。
お祖父ちゃんかお父さんが、一方的に勝手な事言うだけで、私もお祖母ちゃんも、返事以外で喋ったら怒られる。
今のこれこそが、家族の会話だよね、本物の。
みんなが大体、食べ終わる頃、ツネ兄ちゃんが思い出したように言った。
「そろそろ説明する?」
「ん? あぁ、そうだね。あの人達どうしよう? お巡りさんに一一〇番……」
ノリ兄ちゃんが暢気に言う。
お兄ちゃんがすかさず待ったを掛ける。
「あ、集合掛けますんで、ちょっと待って下さい」
叔父さんに固定電話を借りて、お兄ちゃんが区長さんに掛けた。
叔母さん、藍ちゃん、私で後片付けをする。
双羽さんが手伝いを申し出てくれたけど、丁重にお断りした。
片付けが終わって、お茶の用意をした所に、大笹消防団長の車が来た。四人が入って、席を移動する。
上座のお誕生日席は叔父さん。廊下側の席は上座から、ノリ兄ちゃん、マー君、ツネ兄ちゃん、政晶君。
縁側の方に区長さん、大笹さん、駐在さん、大山さん。
双羽さんと三枝さんは、ノリ兄ちゃんの後ろに立ってる。
叔母さんは、お茶のおかわりを淹れるから、ポットの傍。
藍ちゃん、コーちゃん、お兄ちゃん、私は下座席に着いた。