050.昼食
分家の前で、ノリ兄ちゃんがみんなに言った。
「おなかすいたでしょ? 詳しい話はご飯の後にしようね」
真知子叔母さんは、ちょっと驚いた顔をしたけど、すぐにいつもの笑顔になって、迎えてくれた。
縁側に面した客間に通される。
座卓二台に肉じゃが、カラアゲ、サラダ、ホウレン草のおひたし、白菜の味噌汁、炊きたてご飯が、ほかほか湯気を立てていた。
ノリ兄ちゃんが、部屋の隅に杖を立て掛けて、こっちを向いた。黒猫を抱っこしている。
ペットも連れて来たんだ。後で私も抱っこさせてもらおう。
「あれっ? クロエさんは?」
全員座ると、お兄ちゃんがキョロキョロした。
ノリ兄ちゃんだけ、鶏のササミと梅肉とシソのおじやだ。脂っこいのはNGみたい。
「ケンちゃん、クロエに用事?」
「えっ? 用って言うか、ご飯……」
「ご飯はなくても大丈夫だよ」
「えっ?」
ノリ兄ちゃんは、面倒臭そうに言った。
何なんだろう。
王族とメイドは一緒にご飯たべちゃダメとか、身分的な何かなのかな?
それは確かに面倒臭い。席も余ってるのに。
上座の座卓に叔父さん、マー君、ツネ兄ちゃん、ノリ兄ちゃん、政晶君、お兄ちゃん、コーちゃん、藍ちゃんと私、下座の卓に叔母さん、双羽さん、三枝さんが座った。
「猫ちゃん連れて来たの? キャットフードは?」
「いらないよ」
真知子叔母さんの質問に、ノリ兄ちゃんが答える。
流石にそれは持って来てるか。
いつものじゃないと、食べない子もいるし。