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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第一章 真穂の十二月
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005.離島

 お母さんの実家は、師国(しこく)沖の離島で、漁師の網元。

 連絡船は一日一往復で、歌道山町(うどうやまちょう)からだと、電車とバスと船を乗り継いで、二、三日掛かる。乗り継ぎのダイヤが噛み合ってなくて、待ち時間が長いから。

 電車も、歌道山町(うどうやまちょう)から最寄り駅までは、車がないと行けない距離。ガソリン代が高くつくから、不便でも電車を使う。駅から船着き場は、バスの始点から終点まで。


 お祖父ちゃんとお父さんは、毎年、お兄ちゃんと私を連れてお母さんの実家に行く。

 お母さんが居ない事で、どれだけ迷惑してるか、文句を並べて散々飲み食いして、お金をせびって帰る。お兄ちゃんが家出した後も、しつこく私を連れて行く。

 「殴ったら逃げられる」事を学習したのか、子供には物理的な暴力を振るわない。


 母方の親戚は、お兄ちゃんと私が、もっと酷い目に遭わされたら可哀想だと思って、あまり強く言えない。


 ゆうちゃんはお留守番。っていうか、部屋から出てこない。

 私は一度も、ゆうちゃんの顔を見た事がない。お兄ちゃんは小さい頃、見た事があるって言っていた。

 毎日、昼と夜、お祖母ちゃんが部屋の前にご飯を持って行ってる。

 お祖母ちゃんは、「ゆうちゃんが出て来てくれない」って、毎日しょんぼりしてる。

 ご飯を持って行かなきゃ、その内、おなか空かせて出て来るのに。

 お祖母ちゃんがそうやって甘やかすからだって、何回も言ってるけど、お祖母ちゃんは、可哀想ばっかり言って、甘やかしまくってる。


 ゆうちゃんの世話があるから、お祖母ちゃんもお留守番。


 所謂、ひきこもりと言うアレだ。

 放っておいたら、何日で音を上げて出て来るか、試してみたい気はする。

 でも、お祖母ちゃんと約束しちゃったから、仕方ない。

 何かテキトーに、余り物でも与えとけばいっか。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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