047.埋没
クロエさんが食器棚を庭に出した。
双羽さんが、バラバラになったカラーボックスを水で流して外に出す。
多分、ゴミに埋まってたから、腐ってて、持ちあげたら崩れたんだ。脱衣所の時みたいに。
ホント、ゴメンナサイ。
双羽さんと三枝さんが交替する。三枝さんは、ゴム手袋を受け取って、家に入った。
お兄ちゃんが共通語で何か言うと、三枝さんは頷いた。
廊下の棚に手を添えて、何か呪文を唱える。短い呪文が終わると、側板を掌で軽く叩いて、棚を持ち上げた。中身が詰まってるのに、ひょいっと持って、すたすた外に出る。
軽くする魔法……なのかな? 超便利じゃん。
棚の後ろには、毛布みたいな灰色の埃の塊と、ドアがあった。
隠し扉を発見した!
……とか言ってる場合じゃない。
ドア本体は埃に埋まってて、ノブだけが出てる。ノブの上にも、埃がこんもり。
「こんな所に……部屋、あったんだ……」
「間取的に、あるだろうな。後何部屋か」
「仏間も塞いでるんだな。私が子供の頃は、入れたんだけど……」
ツネ兄ちゃんが、隠し扉の反対側の棚をコンコン叩いた。
廊下は、棚とカラーボックスがぎっしり。
玄関から右手側はトイレ、脱衣所、居間の入口だけが開いてる。
反対側は、脱衣所の向かいが階段、階段の隣にお父さんの部屋、その隣がお祖父ちゃんとお祖母ちゃんの部屋。
台所は突き当り。
そう言われてみれば、玄関に近い所にも部屋がないとおかしい。
廊下が長過ぎる。って言うか、居間に対して廊下が長いから、脱衣所&お風呂と居間の間にも、もう一部屋ある。
「とにかく、掘り進めよう」
お兄ちゃんに言われて、私は外に出た。