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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第二章 賢治の十二月二十五日
42/130

042.廊下

 双羽(ふたば)さんが、廊下の天井掃除を再開する。

 水の濁りがハンパない。


 この家の天井は、ひょっとして、建ててから一度も掃除してないんじゃないのか?


 「廊下は、掃除に使える物も埋まってるから、ゴミ袋と洗剤類、タオル類は倉庫の前に置いて下さい。それ以外は、ゴミ袋に入れてゴミを焼く場所に置いて下さい。それから、もう、いいんで、土足で上がって下さい」

 「クロエ、今、彼女が言った事を実行しなさい。……名を呼んでから、命令して下さい」

 真穂の説明を双羽さんが補足した。


 いや、普通、わかるだろ? クロエさんって一体?


 床の堆積物を手前からゴミ袋に詰める。

 玄関の物がなくなって初めてわかったが、廊下の堆積物は、厚さ五十センチくらいあった。

 俺が、朽ちたお裾分け入り紙袋と一緒に雑妖を掴んでも、すり抜ける。

 クロエさんは煩わしそうに雑妖をつまんで、ゴミ袋に入れている。

 雑妖が入っても、ゴミ袋は膨らまない。

 クロエさんは、脱ぎ散らかされた作業服や、ゴキブリの死骸と一緒に雑妖もどんどん袋詰めにする。


 ツネ兄ちゃんが、雑妖がくっついていない部分を持って、段ボールを引っ張り出した。

 乗っていた雑妖が、視えない壁に当たって廊下に落ちる。ツネ兄ちゃんは、ゴミを安全地帯に入れてから、袋詰めしていた。

 俺も真似する事にした。

 真穂は何も視えないからか、雑妖の(たか)る崩れた古新聞の束を抱えて、廊下と玄関を何往復もしていた。発掘したビニール紐で束ねて外に出す。


 廊下の天井掃除が一段落した双羽さんは、外の三枝(さえぐさ)さんに声を掛け、水を渡した。

 三枝さんが、塀を洗う。

 双羽さんも、ゴム手袋を装備した。

 ツネ兄ちゃんと同じで、雑妖が居ない所を掴む。時々、小声で短い呪文を唱える。

 何の音もなく、二メートルくらい先までの雑妖が消えた。でも、すぐに奥から湧いて来て、いっぱいになる。


 ……キリがないな。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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