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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第二章 賢治の十二月二十五日
36/130

036.玄関

 「クロエ、お掃除の間だけ、双羽(ふたば)さんとケンちゃんと真穂ちゃんの指示に従って。優先順位は、双羽さんが一番上。あ、それから、三枝(さえぐさ)さんの通訳もして」

 「かしこまりました。ご主人様」

 クロエさんは琥珀色の瞳を輝かせ、優雅にお辞儀した。「ご主人様」って言うメイドが実在するとは思わなかった。

 色々とぶっ飛び過ぎて、もうどこにポイントを置いて驚けばいいかわからない。

 却って頭が冷えた。

 「クロエ、玄関を開けなさい」

 「はい、双羽隊長」

 外国人二人が、日之本語で遣り取りしている。


 何か変な感……いや、隊長って、何?


 クロエさんは敷地に入り、元気よく玄関を全開にした。

 ギチギチに詰まっていたヘドロと雑妖(ざつよう)がどっと溢れる。

 一瞬、クロエさんの姿が見えなくなった。

 庭に汚染が広がり、嵩が減る。クロエさんは数歩退がって、手で体を払った。クロエさんにくっついた雑妖が、あっさり振り払われる。

 魔法使い三人とツネ兄ちゃんは、何も言わなかった。でも、顔に「やっぱりな」って書いてある。

 クロエさんに申し訳なさ過ぎて、掛ける言葉も見つからない。


 双羽さんが水を流し、ヘドロと雑妖を一カ所に集める。

 三枝(さえぐさ)さんがまとめて剣で斬った。斬っても斬っても、雑妖が溢れて来る。

 玄関の奥は、ヘドロと雑妖が詰まっていて、物理的な状態が見えない。

 「埒が開きませんね。矢張り、元を断たねば……」

 双羽さんが眉間に皺を寄せる。


 服をツンツン引っ張られた。真穂が小声で聞く。

 「どうなってんの?」

 「玄関開けたら、化け物がぎっしり居て、どばーってなった。ヘドロみたいな……」

 「うわ……」

 視えないながら、真穂も玄関に目を凝らした。

 山端家の間取図-間取-清掃中

 挿絵(By みてみん)

 玄関の奥は、ヘドロと雑妖が詰まっていて、物理的な状態が見えない。

 賢治と真穂が頑張って、風呂とトイレは通行可能になっている。

 ※茶色=収納家具やガラクタや、ゴミ等の堆積エリア。

 ※黒色=部屋の存在すらよくわからない不明なエリア。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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